講師としての今に至るまで

スタッフ:まず初めに、簡単なご経歴や自己紹介をお願いします。

今井:よろしくお願いいたします。株式会社ワンダーイマジニアで代表取締役をしております、今井千尋と申します。現在は、横浜と渋谷の2拠点で企業様対象にて人事・人財育成・人財開発コンサルティング領域をサポートさせて頂く仕事をさせて頂いております。

渋谷拠点は、渋谷QWS(キューズ)という、渋谷スクランブルスクエア15階にございます、日本発の渋谷から世界へ問いかける、可能性の交差点というコンセプトにて未来を創り出す「問い」をテーマにした日本初の共創施設です。私は“コモンズ”という立場にて、所属されている企業様、スタートアップ企業様、や、これから起業を考えている学生から社会人の皆様を支援する有識者として支援活動をさせていただいています。

スタッフ:そうなんですね。

今井:私のキャリアのスタートは、オリエンタルランドという会社からスタートしました。
オリエンタルランドと聞いてピンとくる方も多いかと思いますが、東京ディズニーリゾートを運営する会社にてお仕事をさせて頂いておりました。第一運営部アドベンチャーランド課ジャングルクルーズというご存じかもしれませんが、ディズニーランドのアドベンチャーランドというエリアにあるジャングルクルーズというアトラクションですね。ほんとに子供の頃、夢だった「ジャングルクルーズの船長になる!」って夢を叶えることができ、そこから今の仕事に繋がる人財育成の道へとキャリアを積み重ねていきました。

ちょうど私が働かせて頂いていた頃が、東京ディズニーランドの1パーク体制から、新しく東京ディズニーシーという新テーマパークがグランドオープンする時期にて、「テーマパークから、テーマリゾートへ」と打ち出していた、ちょうど2000年前後の時、私はその当時、人財育成の仕事をさせていただいていたんですけど、ディズニーユニバーシティという、簡単に言うと企業内大学の中の導入研修 担当として、約5000人の仲間をテーマリゾート立ち上げ(東京ディズニーランド・東京ディズニーシー・関連企業様の受け入れ)に伴って、キャスト教育、導入トレーナーとして携わり、経験を積み、貢献させて頂くことができました。今思えば、そこが私自身の人財育成を志す原点になった、私の大切な機会となりました。

その後、またご縁をいただいて、ユニバーサルスタジオジャパンを運営する、株式会社ユー・エス・ジェイ(現在は、合同会社ユー・エス・ジェイ)に入社をさせて頂きました。私が所属させて頂いたチームは各部のトレーニングチームっていうその部署の人財育成、人財開発を専門に担うチームがありまして、飲食部から始まり、リテールセールス(物販)部、オペレーション企画部、エンターテイメント部、全社人事部と、パーク全体の人財育成に関わる部署をほぼ全て、回らせて頂き、とても良い経験を積ませて頂きました。

今、メディアでも多く出演され、各企業再生を成功されている株式会社刀の森岡毅さんが、全社の舵取りをされていたような時代、その部署で、人事・人財育成・人財開発を含め、約7年半くらいですかね、現場にて力を発揮してきました。企業自体も、ちょうどⅤ字回復期、新しいコンテンツを展開したり、リブランディングなど、会社として大きな転換期という時代でしたので、様々なプロジェクト(CS向上、ES向上、部署横断的な人財育成・開発関連)に参画させて頂き、共に人事・人財育成・人財開発スーパーバイザーとして、現場のCS/ES向上、社員、クルーの業務改善、能力向上に寄与してきました。

私が一番最後に経験させて頂きました全社人事時代の中でも、「ユニバーサルアカデミー」という企業内大学を一から立ち上げるという、なかなか体験ができない貴重な機会にも巡り合え、経験を積み重ねさせて頂きました。

改めて、今の私のキャリアを回想していても、いつも思うのですが、私、本当にすごく運がいいんですよね。本当にゼロから、ないところから、V字回復に繋がるCS向上施策の立ち上げや、企業内大学の設立、全社導入オリエンテーション研修企画、開発、運用、新卒受け入れ、育成担当などなど、当時の上司、同僚、部下の皆様から様々なチャンスを私に与えて頂けたこと、今でも大変感謝をしています。

その後、ご縁を頂いた東京の人財育成・人財開発コンサルティング会社のほうで、取締役として、経営にも参画させていただきながら、中小企業様から大手様まで人事・人財育成・人財開発領域のサポートをさせて頂き業績向上に寄与したり、自社にて独自開発した、集合研修、企業講演にて全国を回らせて頂いたり、プロ講師の育成を行ったり、中国に進出し人財育成、人財開発にさらに磨きをかけ、国を超えて人財育成、人財開発事業に参画させて頂いたり、また執筆をさせて頂いたりと多岐にわたって、人財育成・人財開発のキャリアを積んで参りました。

そしてちょうど2017年ですね。前職時に、一番最初に出版させて頂いた書籍が、「日本の人事部」が主催されている、「HRアワード2018」という日本全国の人事関連の皆様が集う、全国規模カンファレンスにて、ノミネートして頂き、全国の人事の皆様から多大なご支援、ご評価を頂きました。それがきっかけで、いろいろ多くの企業、人財育成・人財開発に携わる方々に知って頂く機会になり、いろいろ講演、企業研修、企業コンサルティングなどの活動へと広がっていきました。今から3年前、2019年に様々な環境の変化や、自分自身の今後を考えるような機会に巡り合わせ、自身で起業する決断をし、前職の社長には大変お世話になりましたので、いろいろ相談を重ね独立へと導いて頂き、今、有難いことに3期目として株式会社ワンダーイマジニアという屋号にて経営をさせていただいております。前職では、大半が中小企業様中心に、人事・人財育成・人財開発のサポートをやらせて頂いていたのですが、現在は大手企業様から中小企業様、各経営団体様、全国労働組合様、学校団体様など、幅広くお声を掛けて頂けるまでになり、サポートさせて頂けるようになりました。私の得意分野は、テーマパーク時代、積み重ねてきました経験を基に、プロ講師としての積み上げてきたノウハウも重なり、テーマパーク流人材育成・人材開発という様々な心理学や、人財育成ノウハウ、知識を新たに組み合わせて、メゾッド化をし、企業現場にて人関連で困っている課題解決をそのメソッドを通し実践し、さまざまな企業様のお役にたてるように、現在全国を駆け回っています。

テーマパーク業という仕事はその仕事の幅としては、約400職種くらいの仕事が存在しているんです。それは、まさに1つの町と捉えられているくらい多種多様なスキルを持った人が集まり、あのような素晴らしい場が出来上がっているんです。いろんな業種・職種のプロフェッショナルの皆さんが集まり、チームとして関わりながら、実は成り立っているビジネスモデルなんです。

スタッフ:ということは、いろんな方面に役立つことができると。

今井:そうなんです。テーマパークの中でも運営関連、エンターテイメント関連、飲食関連、物販関連、技術関連…などなど数えきれないほどの仕事がありましたし、東京の人財育成・人財開発コンサルティング企業においても、業種業界関係なく、様々な現場にて人事・人財育成・人財開発の仕事をしてきましたので、今ではどんな方面でも対応させて頂いています。いろんな業種を担当してきた経験が今にとても役立っています。その経験、ノウハウをもとに「業種業界問わず、困っている人、チームがあれば人材育成、人財開発はできる!」「すべての企業の価値は人から創られる!」という考えを大切にして、企業人財育成、人財開発コンサルティング、講演などを企業様の課題ごとに事前お打ち合わせを基にして解決手段に合わせて実行しております。

他には、執筆活動も継続しており、現企業を創業してから間もなく2019年に2冊目の本、「一瞬の選択力 瞬時にベストな解を出す方法 (内外出版社)」という題名の本を出させていただき、AMAZON様の書籍リーダーシップ部門にて1位を頂いたり、SHIBUYA QWSにて推薦図書として採用して頂いたりとご好評を頂いております。今年も間もなく2022年の秋くらいですね、4冊目の本、さらには、2023年春に5冊目を出版させていただく、今、そのような流れでおります。
多くの皆様のお役にたてる本になれば良いなと思っております。

スタッフ:ありがとうございます。もう、今ほぼ一番のきっかけのところは、今の大体お話がベースになるのかなあとは思うんですけれども、一応そういう問いで聞いても大丈夫ですか。

今井:もちろんです。

スタッフ:なので、元々ジャングルクルーズをやられていて、ディズニーにいらっしゃって、ユニバーサルに行かれて、コンサルの会社に入られて、さらに独立をされて、という流れでやられているのと、先ほどお話しされていたように、「自分は運がいい」というお話もされていましたけれども、お伺いしていると、運と、なんか縁もすごい強い感じがして、なんか運と縁を引き寄せていらっしゃるのかなあという感じがします。

運と縁と恩が今をつくっている

今井:おっしゃる通りですね。本当に私の周りには、すごく素晴らしい方々が多いので、私自身は本当に大したことないんです。

スタッフ:いやいやいや。

今井:周りの方々がすごく助けてくれるというか、私も研修の中でよく言うのが、「あなたは助けてもらえる人ですか?」っていうところはすごく話をさせていただくんですけど。

スタッフ:とてもいい問いかけですね。

今井:助けてもらえるって、言葉では簡単に言えますが、この状態を周りの人との人間関係の中で創り出すことは、それ相応の人間性や、人間力みたいなものが必要です。
助けてもらえるって、日ごろのその人自身の「あり方」がとても影響してくるということですよね。
自分自身が、助けてもらえる存在として、助けたいと思って頂ける存在として、日頃から、相手に対してどのように考え、接しているのか…自分自身が体現しないと、お客様に「助けてください!」って言っても、伝わらないですし、検討違いの問いかけに聞こえてしまいますよね…「共に自分もお客様自身も大切にし、勝ち(価値)にいくってどういうことなんだろう」…「一人ではできないことをお互いで価値を生み出し、相乗効果を生み出していくってどういうことなんだ」…「お客様の立場に立ち、本当に必要なことってなんだろか」…などなど
お互いを大切にしあい、助け合う関係性についても、講演だとか研修の中でもお話しさせていただいています。

スタッフ:いいですね。そもそも、このテーマパークというものと人材育成っていまいち知らないと連動しないんですよね。なんかちょっと特殊な感じがするんですよね。だからその、テーマパークで経験されたことを、一般の企業、例えば管理職研修だとか若手の研修だとかで、どうリンクさせるのかなと思っていたんですけども、先ほどお話伺って、「テーマパークにはすごい数の職種がある」と。要は、いろんな会社の、大きな会社も含めて、その組織がギュッと多分入っているところなのかなと思っております。だから、それも今日初めて知りましたけれども。なので、テーマパークっていうと、なんとなくサービス業の研修なのかなって、勝手なイメージをしてしまうんですけど、多分そうではなくて、テーマパークを運営するにあたって、組織というものがきちんとあって、そこの組織運営、更にそこの組織運営するための人材育成であるとか、といったところのお話であれば、確かにものすごい凝縮された中でご経験をされているでしょうし、その経験則はすごいんだろうなあという感じを今受けております。

今井:とてもわかりやすくまとめて頂き、ありがとうございます。確かに特殊な環境で育ってきましたよね。だから、元ユー・エス・ジェイ本部長であった森岡さんのマネジメントにおいても、お話してきました通り、テーマパークの特性上様々なアイデンティティを持った、各業界のこだわりの強いプロの皆さんが一同に一つのプロジェクトに参画していたので、それをまとめていく力、リーダーシップを発揮し、成果を生み出す過程なども学んできました。これは、他社様では体験できない貴重な経験になったと今、思います。私は短期での仕事を含めると、複数のテーマパーク、テーマリゾート、テーマを基にしたショップ(ディズニーストアなど)でも働かせて頂いてきました。様々な現場を体験する中で、全然同じテーマパーク業でも全く考え方が違います。その中で、多くのことを学ばせて頂けたこともとても良い経験として今に活かされています。特に私自身も私の中心を創り上げている世界有数の2つの要素を私の中の軸として、それをまた私が人財育成コンサルタントとして磨いてきた自身の経験をさらにミックスして、テーマパークだけではなく、あらゆる業種業界にあうメソッドとして各ご縁を頂いている企業の皆さまにご提供させて頂いています。私自身、多くの諸先輩方に鍛えて頂き、自分自身があらゆる現場にて試行錯誤してきた内容、教えていただいたものを

さらに私流にスパイスを加え、解釈をして、「私だったら、こう伝える」「こう落とし込むとより深く伝わる」という秘伝のタレをお話をさせて頂いています。これは、先人から伝えて来て頂いたことを後世に引き継いでいくというような考えを私自身は持っているんです。

そのことを“恩送り”と呼んでいます。 “恩送り”という考え方、価値観をとても私自身が大切にしていて、自分自身が学んだことを、どれだけ社会の為、企業現場の皆様の為に、還元して次の世代につなげていけるのかっていうことを常に意識しています。こうやってお話することで化学反応が起きて、また新しい価値が生めればいいなあ、なんて思いで、ですね。

スタッフ:今のでもいいキーワードだなあって思ったのが、「運」と「縁」と「恩」じゃないですか。伺っていると。運がおありで、やっぱり講師もそうですし、講師以外の方でも、運のある人って大事だと思うんですよ。

やっぱり運って、多分日頃の行動であるとか言動だとかで絶対左右されていくものでしょうし、その運があるからご縁を生んで、それでかたちにされたものをきちんとご恩を感じて外に出すわけですから、すごいいいサイクルの中でお仕事をされているんだろうなあっていうのはとても感じます。

講師として心がけていること

今井:そうですね。私がとても大切にしているのが、誤解を恐れずに敢えて言いますが、「研修会社はいらない…」と思っているんですよ。
例えば、他の研修会社様では、お客様に対してレクチャーしてもそれそのものを提供しないような研修ツールなども、僕は、その企業の解決する上で必要であればどんどん出しちゃうんですよね。
一般的には、「コピーしないでください」「このツールは研修後に返却ください」とか…そのたぐいのものです…
他の研修会社ではよくそんな話を聞くんですけど、(私も企業にて人事時代に研修会社様を使わせて頂いた際に、同じような経験をしてきました)
でも、それをやってしまうと、時にその企業の真の課題解決から遠ざかってしまうということがあるんです。
私自身が、現在の人財育成・人財開発コンサルティング企業を経営させて頂く前には、研修コンサルティング会社でも働かせて頂いていましたし、企業にて人事、人財育成、人財開発担当として、研修会社に依頼する顧客側の立場の人事でもあったんです。だから、それぞれの立場を痛いほどわかってきているので、その立場に立った時に、相手はどのようなことを弊社に望んでいるんだろう。。。本来であれば、何を必要とするんだろう…と相手の立場に立って、考えることが実感として強いんです。顧客企業の本当の課題解決にむけて今、何を必要としていて、どう動けるんだろうって、常に考えているんです。

企業企業側人事を経験して、プロ講師として人財育成企業を経営している人は数少ないのではないかな…と思う中にて、私自身が体験してきた企業人事として、「こんな風に研修会社様とのやりとりをしたい!」「このレクチャーをもっと多くの今日参加していない現場リーダーが知れば、課題解決に近づける!」「このツールを横展開すればさらに現場組織が活性化するんじゃないか」などという実体験からの想いが今の経営にかなり現れているような感じがします。

だから、私が企業様と相対する時には、とても泥臭くそこまで関わるのですか!って企業人事担当者からびっくりされることもしばしばです。笑

そこまでやらないとやなり本当の成果にはつながらないのではないかという私なりの職人気質なのかもしれません…
もう一つ先ほどのお話の中で、ここで決して誤解してほしくないのは、ツール類などをお渡しするというこは、安売りをしているわけではないんです。
つまり、なんでもかんでも提供するということではなく、課題解決に本当に必要な時に「これはルールなので、差し上げることができません」という一遍通りの答えではなく、効果的に機能するのであれば、このタイミングでは社内で使ってもらったほうが成果に繋がりやすいという判断の時にそのようにしているということです。

ツール、カリキュラムの価値が下がるわけじゃないので、社内にて成果を出す為に使っていただいて、社内の中で業績上げていただいたほうが、どれほど、そのツール、カリキュラムの効果性を実証したことにもなりますし、本来、私たちの人財育成・人財開発コンサルティング企業としてのそのクライアント企業人財の成長、業績向上が私たちの存在意義という価値を高めてくれると信じ、僕は大切に思っているんです。

結局、企業人事目線での対応をしているってことですね。
結局は、企業の人事が人材育成・人財開発を生業としただけなので。
自分が人事時代にちょっと、これどうなんだろうなって思っていたものを、今の自分自身が提供側としてそれを有言実行したいって思い、こだわりがあるので、少し経営者としては三流だと思いますね。もっとうまい経営があるはずだと思うんですけど、僕は泥臭い人間なので。ある意味、職人気質というか。それで僕はいいと思っているんです…
だから、このような対応をすると、先ほどもお伝えした通り、クライアント企業の人事担当者様から「えっ、これ使わせて頂いていいんですか??!!」って驚きと感謝の言葉をよく頂くことが多いんです。(笑)

スタッフ:そうですね。クライアントが例えば研修やって、「この資料って他にも出していいですか」とか、「研修受けてない人にも見せていいですか」みたいか確認をしてくるってことは、基本NGにしているところが多いってことですよね。

今井:と、思うんですよ、はい。

スタッフ:そうですよね。ものすごいそういうのを気にされて、「これ、いただいたのって弊社内の今回受講した社員以外にも出していいですか。もちろん、社内のみで使わせて頂くので…」とか、すごいそういう話はよく聞くんです。弊社のスタンスとしても、もちろん講師との関係はありますけど、それで社内が活性化するんだったら、ぜひ使ってくださいって話。

今井:そうです。その提供したツール、カリキュラムにて別にお金を生み出すような自社で人材育成を売るって…それはまた話が違いますけど、社内の中で使って、相乗効果的な成果を狙いとして人財育成して、自分のところの業績が上がるっていうことは、私たち、ツール、カリキュラムを提供させて頂いた人財育成のプロに対する多大な評価を頂けたということなので。
逆にそれができないと、何のためにじゃあ私たちが人財育成、人財開発として入るんだって話になっちゃうので…

スタッフ:そうですよね。研修の時間だけ学んでください、では、研修の意味がないわけですからね。そのあたりの思いも、すごく共感するところが多いです。

今井:共感して頂き、ありがとうございます!嬉しいです。

スタッフ:ありがとうございます。例えば、いろんなご経験をされている中で、「あ、自分で講師をやろう」っていうきっかけ。もちろん、社内大学的なものもあるんでしょうけど、それでも「あ、これ俺の仕事だな」「これを恩として皆に伝えていこう」ってところになったきっかけって何かあるんですか。

今井:「今までで印象に残った講演・研修の事例」の中で… これは、テーマパークにて人財育成担当をしていた時期。企業のインハウス研修だとか、私、企業内にて人事、人財育成担当でしたので、企業の中でも講師もしていましたし、もちろん独立してからもプロとして講師をやるんですけども、企業にてインハウスだろうがどこだろうが、、社外の何百人規模の●●講演だろうが、全く関係なくて、僕は一貫して思うのは、参加している人って研修をどう捉えるのかがすごく大事なんですよね。

研修ってどんなイメージを持ちますか?「研修」ってどんなイメージを多くの人が抱いているかというと、大きくは、2パターンあって、研修…面倒だ…どうせ受けたって何も変わらないでしょ…っていうパターンと、もう一つのパターンは、魔法みたいに人がその研修を受講したら変わるってイメージ。研修出たら次の日すごく業績上がるんでしょ、とか言われたり。極端に言うと、とある経営者が、有難いことに私の良い評判を聴きつけて頂き、わざわざ連絡をくれるんです。「すいません。今井さん、ちょっと聞いたんですけど、今井さんの研修受けると社員さんのモチベーションがあがって、やる気になり、業績が上がりやすくなるらしいですね!是非ともウチでもやってよ」なんていうことを、パッと言われちゃうんです。とてもありがたいご評価を頂き、感謝の念と共に大変恐縮なんですが、「僕、そのお話には、少し解釈が違うんですと…」経営者の方に大変失礼なんですけど、ちょっとそれは違います、って伝えるんです。経営者の方は最初は、僕が言っていることがよくわからず、「ポカン???」とするんですが、しっかりとお伝えしていくと、とても深く理解してもらえるんです。

それは「人って、研修で変わるんじゃなくて、トレーニングで変わるんです!」と。「トレーニングっていうのは何かっていうと、現場業務ですよね。現場業務で研修で学んだことを実践を通して、反復しながら活かせなければ、研修やっても変わらないですよ!」と。

研修が嫌い、無駄と思っている皆さんも、研修が魔法のように人が変わるっていう皆さんもそれぞれ捉え方が違うと私は思っていて、正しくは、しっかりと段どってやれば、必ず変わるし、省略して行えば、もちろんそれ相応の結果しかでないという正直さが研修にはあるんです。

「研修」と「トレーニング」って、目的が違う

今井:「研修」とは、「知らなかったこと」が「知れる」、「気づけなかったこと」が「気づく」、「分からないこと」が「分かる」、という「わかる」視点にて研修ってすごく爆発的な力を発揮するんです。
しかし、また「分かる」と「できる」ってまた別物なんですよね。できるためには、私たちはトレーニングというやり方で、しっかりと学んだことを身体を通して表現できる仕組みとして自分自身が「できる=習得する」っていうサイクルを回していける学習設計を組み上げていくんです。この学習設計がないと、絶対できるようにはなりません!

何が言いたいかっていうと、私たちの仕事は、そこまでちゃんと責任を持ち、学習設計すれば、人財は絶対輝くって僕は思っているんですよ。

私を育てて頂いた、原点であるディズニーリゾート、オリエンタルランドにはすごく感謝してます。
私、本当に子どもの頃は、人前でこんなに話ができるようなタイプでもなかったですし、どちらかといえば、恥ずかしがり屋な小学生だったんです。

そんな私に変化を与えてくれたのは、小学2年生の時に両親と初めていったグランドオープンの年、東京ディズニーランドのジャングルクルーズ。そこで出逢った船長がとてもカッコよく輝いていて、いつか自分も船長になる!という衝撃な体験をしたんです!
だからこそ、人よりも一生懸命に船長になるためには何が必要なんだろうって考えたり、当時の小学生の課題の中にある「将来の夢」という作文にもジャングルクルーズの船長になる!という宣言をして、実現にむけて努力を積み重ねてきました。自分なりに、「行動する力」「自分に負けない気持ち」「誰よりも、もうひと手間行動するという規準」「想いを強く持ち、その想いを絶対に叶えるという志にはブレない」などを小学生ながらに、ずっと持ち続け実践を積み重ねて、学んできたと思います。

そのかいもあって、学生時代の部活は野球部であったのですが、チームでは下手なほうでしたが、日ごろの努力を惜しまず、決めたことはやりきるという姿勢が認められてレギュラーを勝ち取る成功体験をして、自信をつけることができました。

さらには、その野球で培った自信、行動から、人よりも10倍、100倍の行動力によって、ある時、長年の夢であった「ディズニーランドの船長になりたい!」ということも叶えることができました。
入社後も、現場の中で人財育成トレーナーの仕事をやらせてもらったり、人財開発部に自ら移動したいと手を挙げ、企業内大学において導入研修講師をさせて頂く中で、いろんな人と出逢い、学び、その人達との関わりの中で、「ああ、今井さんに逢えてよかった」さらには、研修受講1年後ぐらいに、ばったり社内でその時の受講生とお逢いした際にも、「あの時の研修が自分の中ですごく響いていて、今も研修のあの時の、今井さんから言って頂いたあの一言が自分の中の心の支えになっています」というような、本当に人財育成をしてきてよかった!と思える、貴重なありがたいお言葉、機会にも恵まれてました。
最近もあったんですよ。最近もたまたま、オリエンタルランドの後輩が、僕の研修を見に来てくれて、「20数年前に入社した時に習った、あの学びが今の私の20数年、現役でこの仕事を続けられている一つの原動力なんです」みたいなことを言ってくれたり…。本当に涙が出るくらい嬉しかったですね。
つまり、私たちの仕事って、人の記憶に残る、責任ある仕事なのです。
その記憶に残る為には、その研修の瞬間だけでなく、人の成長が加速する、トレーニングの時にも意識的に関わりを持ったり、その人の成長に真摯に向き合い、その人の成長に責任を持つということなんです。
その人の価値観がガラッと変わったり、行動がガラッと変わったり、その人の可能性がグワーっと広がっていくような、すごくダイナミックな機会に立ち会える、そんな人の人生に関わるような、大切な仕事をさせていただいているな、と。
かたや、間違えちゃうと、その人の人生をつぶしてしまうようなこともあり得る責任重大な仕事なんだって思うんです。
人に関わるってそういう、すごく責任重大なことなんだと思うんです。

「人事」って「ひとごと」って読めるじゃないですか。だから、そこに相手に対するリスペクトと成長というその人自身の可能性を飛躍させる為の責任を伴う、その人を愛する心がなければ、どこか、他人行儀な、作業と言いますか、言われたことだけをやるような「ひとごと」になってしまうことは当たり前のように、常に意識し上司からも教えて頂いていましたし、私も今すごく、自分自身に対して、そして大切な仲間に対して、その重要さを語っています。だからこそ、自分のこの仕事って、形には残らないですけど、本当に、よく言うじゃないですか。建設業の方が、自分の創ったものがレガシーになって、街に残っていくのが素晴らしいのと同じように、僕たちの仕事も目には見えないかたちに残らない仕事なのかもしれないけれど、その人の心の中に、自己成長した自分自身、つまり今までできなかったことができるようになったり、気づけなかったことが気づけるようになり、視野が広がっていったり、そのことで自分の選択肢の幅が、さらに広がり、今までならばそんな選択をしなかった自分自身に出逢えたり、今まで難しいと感じていたことが可能性が広がるような実体験を積み重ねたり、と、その一つ一つの体験、経験がレガシーになっていくのではないでしょうか。
その時の体験、経験が、後のその人の人生に大きく関わるような分岐点として残っていく。すごく素晴らしい仕事をしているなっていうことを、テーマパーク時代からすごく感じさせていただいて、ああ、この仕事って本当に一生かけて極めていったら、絶対自分もうれしいし、周りの方も喜んでくれるし、それがやりがいにつながるだろうな。自分が足跡を残していけるだろうな、っていう時期だったので、それくらいから、じゃあこの人事って仕事を極めたいな、っていう思いがあって、講師の道を、講師の道っていうかね、人って何なんだろうっていうところを研究する、そんな流れに入ってきましたね。だからこそ、長くなりましたが、私のこだわりは、「研修」という機会だけでなく、その後の「トレーニング」の機会も有効につながっていけるような意識で受講生の成長に責任を持ち、仕事をさせて頂いています。

スタッフ:なるほど。どの講師の方もそうでしょうけども、やはり人材育成に関わる人って、もちろん僕らもそうですけれど、ビジネスではやってはいますけれど、そこにやっぱり確固たる思いがないと、思いがきちんとサービスとして提供して、それの対価として、僕らはいただくわけですけれども、でもそれが先ほど今井さんおっしゃっていたように、例えば今井さんの発する一言でその人のキャリアが変わるわけですよね。

今井:本当にそうですね!

スタッフ:ですよね。その時言われた一言というのは、僕もいろんなところで聞くんですよね。あの時受けたあの研修の、あの講師の一言で、自分はこの道を進もうと思いました、とかっていう、本当に人生に関わるところをやっているので、今井さんが先ほどおっしゃっていたように、「今井さんの研修をやれば、なんか業績上がるんだよね?」っていうだけで受けられるものじゃないですよね。そこに責任が発生しますものね。

今井:そうです。おっしゃる通りですね。

次回へ続く