企業研修や講演を現場で活かすための考え方とは?
スタッフ:今、実際やられている講演や企業研修で、得意とされているテーマや最近ご依頼の多いテーマはございますか?
今井:はい。最近、企業様向け講演、研修にて、よくお声がけを頂くテーマとして、コロナ禍やWithコロナの人材育成で必要なポイントついて、2大テーマパークで培ってきた人財育成メソッド~V字回復を成功させたリーダーシップ~、~シナジーを生み出すチームビルディング~、~成果を上げるためのリーダーの習慣、圧倒的な成果の出し方~ などの講演依頼が多かったですね。
また、今は少し落ち着きましたが、少し前ではテレワーク中に、各社様にて課題としてよく挙がっていた上司部下間の“コミュニケーションを活性させ、互いの繋がりの強化を促進させる考え方、捉え方~、~部下のモチベーションを上げる為の関わり方~、~孤立しないコミュニケーション~などもテーマとしてお伝え致しました。
テーマパークでは、基本的に大人数のスタッフを少ない社員で管理しなければならないので、コロナ渦前から、効果的、効率的なコミュニケーション、場づくりなどを研究していました。なので、弊社では、オンラインへの職場環境変化にも大きなストレスもなく移行できている成果がありましたので、その成果をお伝えしていったという形です。
あとは、アフターコロナにて、人財育成には何が必要なんですか?いうテーマも各社様からニーズとしてお声がけを頂いていますので、そのようなテーマでもお話をしています。
あと、宣伝になりますが(笑)私の本の内容についてですね。
“ディズニーとUSJで学んだ現場を強くするリーダーの原理原則”(内外出版社)について教えてくださいというのが最も多かったと思います。この書籍では、小職がテーマパークの人財育成トレーナーとして、現場キャスト、クルーの皆さんと共に経験を積んできたリーダーとしての物事の見方・考え方・捉え方をまとめたもので、さらに、人材育成の優先順位や、具体的なやり方などをまとめたものが、“一瞬の選択力 瞬時にベストな解を出す方法”(内外出版社)になります。
こちらの本を読まれた企業経営者、幹部様、現場マネジメントの皆様、人事・人材育成担当の皆様からお声がけを頂き、講演や研修として開催させて頂くことが多いです。
他には、ユニバーサルスタジオジャパンのV字回復期に人事・人財育成担当として携わらせていただいたことから、具体的にどのような人財育成を現場で実施していったのかということや、リーダーシップやチームマネジメント、チームビルディング、成功する人の考え方、部下の心に炎をつけるモチベーションを上げる為の上司としてのコミュニケーション(一部抜粋)、という講演依頼などもありました。
スタッフ:企業以外でも講演依頼や研修などの実施もあるんですか?
今井:コンサルティングについては、まず事前に経営者・経営幹部のみなさんに、インタビューさせて頂き、企業の中にどのような課題があり、どのような成果までもっていきたいのかというゴール設定から話し合い、工数などを決めていくのがスタートラインになります。
人事・人材育成・人材開発領域は(労務以外)全て行いますので、例えば、「企業内大学を創りたい、もしくは既存の体系を修正したい」「人材開発戦略、人財育成体系を刷新したい」「コンピテンシーを作り変えたい」「ジョブディスクリプション、役割定義を整備したい」「面談のやり方を修正したい」「評価制度を見直したい」など人事評価制度、企業内人財育成、人財開発関連など、さまざまな依頼を受けさせて頂いております。
また私の得意な分野の一つに、ディズニーリゾートやユニバーサルスタジオジャパンで培ってきた経験を基にした、企業内人財トレーナー育成、つまり企業内の自前講師育成があります。これからの企業の一つのあり方として、外部にお願いする人財育成と企業内のリソースになる人財を最大限活用し、自社にある素晴らしい資源を自社人財に最大限還元する為に、独自に育成するという企業内人財育成内製化という2軸が必須になってくると考えています。企業独自で、他社にはない特色や強みを発揮できることは、他社との差別化にとってとても有効であり、自社内人財の強化にももちろん繋がります。共に学び合える文化を創るということも長期的な視点からもしっかりと行っていくというニーズも多くあります。
スタッフ:すごいですね。だから、人事・人財育成・人財開発領域を基本やるわけですもんね。
今井:はい。労務以外はほぼ全てやっちゃいます。労務も少しはお話しできますけど(笑)。
スタッフ:コンサルでいえば、人事領域。経営に関わるところも含めてお手伝いをしている感じになりますよね。最近、僕なんかもいろんなクライアントと関わっていて、今の若手世代という言い方をする会社さんも多いですけども、世代間のギャップがあるとか、例えば僕は50手前ですけども、同世代が、今の新卒の子を部下として受け入れるときに、「もう考え方が違いすぎてどうしたらいいの?」みたいな。結構そういうお困りごと、課題みたいなのは受けることが多いんですよね。
今井:ありますね。私も多くの企業担当者様から同様のことを伺います。
スタッフ:今井さんから見て、今の若い子たち、学生というよりか社会に出られて、新卒も含めて、若い世代の子たちって、まあちょっと話がずれちゃいますけど、僕らはいろんな会社さんから聞くと、「いや、今の若い連中はさあ」っていう、ちょっとこうマイナスな、ことを言われるんですけど。正直、今の若い人たちってどう思われますか?
今井:私、あんまりそこでフィルターかけないようにしています。どんな世代でも、僕たちの世代でも、不平不満言う人もいるし、前向きな人もいる。ただ、世の中の風潮として、ゆとり世代だとか、指示待ち人財だとか、今の若者は・・・・・ というああいう固定化されたフィルター表現には気をつけないといけないと僕は思うんです。決して、それ自体の言葉を否定している訳ではないのですが、そのフィルターをあまりにも意識しすぎると、一人ひとりの個性をつぶしてしまう可能性があると思うんです。
いつの時代でも、いろいろな人財がいて、その人の個性を伸ばしていけるかどうかというところがとても大切だなって思います。 そのような中でも、例えば“Z世代”という呼称は、その時代のトレンドのような大きな流れとしては受け取っています。
スタッフ:今よく言われますよね。
今井:必ずその時代背景を知るということはとても大切だと思うので、どのような時代にて成長を果たしてきている世代なのだろうという視点にて“Z世代”参考にまでみていたりします。 一般的に、Z世代って、1990年半ば~2000年代序盤に生まれた、今の25歳くらいまでに生まれた世代で、生まれながらにしてデジタルネイティブである世代を指していたりします。この世代が注目されているのは、世界人口の1/3を占めており、これからの消費を担う世代として経済の主役になり得ることが言われていたりします。
このように、時代背景として世代を捉えておくことは一つの知識としては必要だと思います。
しかしながら、先ほどお伝えしました通り、Z世代という、そのフィルターを通して彼らを決めつけて見ちゃうと、多分、そのフィルターが大きく影響し、そうしか見えなくなっちゃうんです。
例えば、デジタルネイティブ世代ということは、皆がインターネット環境に精通していて、得意とか。どうしてもそのトレンドからフィルターを固定化してしまうような。
だからこそ、気をつけてその人、一人ひとりに注目することは怠ってはいけないと思います。 そのような中、一人ひとりを注目していく中で、敢えて一つ私自身が感じることがあります。 それは、『欲』というキーワードです。
欲が見えにくくなっているんだろうなっていうのはあります。
欲ってどういう風に捉えますか?
私たち40代の世代って、バブルは崩壊していましたけど、僕らの前世代の素晴らしさっていうものも、先輩方からいろんなこと聴かせて頂いていましたよね。「がんばれば報われるんだよ」みたいな。だから、努力しよう!みたいな。必ず頑張れば成果がでるんだ!!というような。
スタッフ:そうですね。
今井:敢えてこのZ世代をみていくのであれば、時代の流れとしてギリギリ、いやもしくは、制限がかなりかかっている世代ですよね。がんばってもどうしようもないことも多々あったり。これは、その人の実力ではない社会の流れとか、状況が強く影響していたり。
さらに、この後のα世代だと、さらに世界や社会の状況が変化が激しく、ある意味、より制限が大きくかかってくるような、何かもう前が、ヴィジョンが見えづらくなってくるような感じが今のところします。まぁ、これも一つのフィルターに過ぎないのかもしれませんが。 それくらい、世の中は多様になってきていますし、どれくらい柔軟に考え、動けるのかということですよね。
敢えて、その中で、先ほどお伝えしたように、『欲』というキーワードを意識して、育成を設計していたりします。
欲とは、「もっと上手くなりたい」「もっと、知りたい」もっと、もっと、もっと・・・・・
って自分自身を成長させる原動力になったりするとても大切な要素です。
そこで僕がよく、人財育成の中でお伝えする一つに、「欲ってそもそもなんだろう?」「欲を出すって良いこと?悪いこと?」「あなた自身の欲を見つけてみよう」などなど。その『欲』の引っ張り出し方がうまいリーダーと下手なリーダーとでは、そこで大きな差が、部下との関わり方、成果に出ちゃうよね、っていうことを私はよく研修内にてお伝えしています。
私に関わって頂いた過去のリーダーを見ていても、やっぱり部下への関わり方、欲の導き出し方がとても上手かったんです!
だから、部下の私としては、それをやらない理由が見当たらないってところまで具体的にできた!
だから、率先して誰に言われることなく、行動をし続け、成果を出すことができた。
欲って本当にうまくコントロールできれば、最大のパフォーマンスを発揮する為の力になるんだと。
スタッフ:なるほど。
今井:そうですね。笑 いつの時代でも同じですね!笑
スタッフ:例えば、今なんかを見てると、多分僕らはそうは言っても、新卒でゴソッとまとめて入って、先輩・上司の「俺の言う通りやっていればいい」という指示を素直に「はい」って言ってやってた。
そこに今の若い世代の人たちって、今井さんが今お話しされてたように、確かに競争欲とか、「あいつに、同期に勝ってやろう」とか、そういう気持ちよりも、なんかもうちょっとこう、仲良しみたいな感じですね。
今井:なるほど!なんだか、勝つことが“悪”というか、目立つことがあまり良しとされないような、小学校の運動会でも順位づけを廃止し、皆が1等賞、演劇では主役の桃太郎が5人いるみたいな。みんなが“競争すること”の意味をはき違えて捉えているのかもしれないと。横一線でよーいドンでゴールしたらいいじゃない、みたいな。
決して、今までの学校教育を否定したいというわけではないのですが、私が人財育成するのであれば、私自身が上司からしてもらった経験であり、私自身も仲間と共に成果を出してきた一種独特なるやり方、場の創りだし方、もっと効果的な方法ってあるんじゃないかなって思うんです。
その根拠は、テーマパーク時代に経験させて頂いた人財育成の経験がもちろん土台としてあります。
スタッフ:そうなんですよね。とてもすごく分かります。今お話しされてたように、それぞれの欲を出す、引っ張り出すってなった時に、確かそのやり方、正解だなって思ったのが、多分一人ずつ出てくる欲が違うじゃないですか、結局。その世代まるごと、「これやればこいつら動く」ではない。A君とB君とC君で多分アプローチのしかたが違うんですよね。
今井:そうなんです。僕、会社を擬人化してお話することがあります。会社にも欲があるし、部署にも欲があるし、あなたにも欲があるよね、って捉え方をよくします。それらの全ての“欲”が同時に全て叶ったら最高ですねって!!笑全体最適で、全員がやっぱりメリットを享受できるようなところって大事だよね。
でも、この全体最適の考え方の前提には、それぞれが目指したいゴールというやはり“欲”という姿があるということなんです。最適っていう言葉の裏側にあるものは、辞書で調べてみると「いちばん適していること。また、そのさま。」です。
いちばん適しているということは、その状態がどんな状態からどんな理想の状態に変化することなのか、何を適する状態にするかという定義を決めなければ成立しないですよね。つまり、達成したいゴール、理想的な状態という”欲”があるということです。
それぞれの立場にてその達成したいゴールを得られ続けるということ自体、それが持続可能な社会だよねっていうようなことを伝えています。あなたにもメリットがあるし、上長の私にもメリットが欲しい。そして、組織にも企業にも、顧客にも社会にも持続できるメリットがあるからこそ。だから、お互いにメリットがかなえられるような状況を創ろうよ。みたいなのは、よく新入社員研修マネジメント研修などでも入れたりしますね。
スタッフ:そのアプローチは素敵ですね。ありがとうございます。あと、例えば研修ですと、階層別研修みたいな、下から上までまとめてやったりもしますか?
今井:はい、もちろんやらせて頂いています。
スタッフ:その場合って、例えば、1社ですよ、1社で、新入社員から、ある程度の管理職ぐらいまで、今井さんが見られているとして、その場合って、何かその根付かせるものがきっとあるんだと思うんですけどね。何かこう、共通言語を創っていくのか、同じ思いを持たせるのか、なんかそのあたりで階層別研修なんかを今井さんが担当された場合に、どの階層にも共通して、どんなことを伝えていったりしてますか?
今井:例えば、“手順と規準と水準”というのはすごく大事にしますね。
よく私もクライアント先の上長である上司から、このような相談を受けることがあります。
「自発的に行動を部下がしてくれない」
「勝手に部下が指示とは違うやり方で動いてしまう」
「上司がいうことが伝わらない。組織(チーム)がまとまらない」
自らが適切にその場に合わせて判断し、率先して成果を生み出す人財になりにくいパターンというものが、実際に研修を開催するその現場にあるんです。
例えば、一つの代表的な事例として、上司部下とのやり取りでよく見受けられることの中で、上司がマニュアルの手順をすごく熱心に部下に教えているんです。
マニュアルが悪いっていうわけではないのですが、マニュアルの手順を効果的に、部下が創造力を発揮して、柔軟に発揮させる為の一つのポイントは、“規準”という考え方を入れているかどうかなんです。
うまくいかない組織によくあるのは、そこに“規準”が伴っていないので、部下が指示された手順ではうまくできるようになるのですが、その手順が機能している状態ではもちろん良しですが、顧客は様々な要望を私たちにしてきますので、もちろん、イレギュラーや、顧客ごとにどう接するのかという柔軟さが求められる場面に遭遇するんですよね。その時に、今まで教えて頂いた手順が機能しないという瞬間に部下は出逢うんです。そして、機能しないのでどうしたらリカバリーできるのかという発想ではなく、手順通りにしか極端な話教わっていないので、手順がうまく機能しない=思考停止状態になる、というか、「考えなくなっちゃう」。「考えられなくなってしまう」という状態に陥るんですね。
上司は、よく「顧客ごとに柔軟に考えて話しなさい」って指導をされている皆さん多いかと思うのですが、考えさせる組織にするために、まずは、“規準”を導入できるかどうか、そしてその後には“水準”という考え方がさらに入っていくと、手順がさらに活きて、部下が考えるような機会と質の高い成果を体感できる環境を上司側は提供することができるのです。
なので、企業研修においては、受動的、指示待ちの状態を生み出している組織に対しては、“手順・規準・水準”を自らが気づけるような仕掛けを入れたりしています。 この体験は、自らの人事時代の経験が大きいんです。私も今はプロの人財開発コンサルタントとして、お仕事をさせて頂いていますが、過去には、企業側にて人事担当をさせて頂いていました。 だから企業研修も、やっぱり人事時代に、いろんなコンサル会社様とやり取りをさせて頂きましたが、やっぱり「あー、ここ、もう少しこうしたいな」って思う、もうひと手間という感覚があり、そのもうひと手間をどうしたら表現できるのかってずっと研究を積み重ねていました。コンサルティング会社様が提供して頂くツールは、確かに一つ一つ本当に、仕上がっていて、綺麗で素晴らしいんですよね。手順というツールはいいんですよ。
スタッフ:そうですね。
今井:でもそのツール自体が“手順”として一人歩きをしてしまって、結局、自社独自の色が出る“規準”だったり、”水準“がそこにかみ合っていなかったりするので、組織として、定着だとか、シナジーが生み出しにくかったりするんです。結局、自分たちが今までコツコツ創ってきた一番動きやすいやり方に戻っちゃったり、1カ月くらいは効果が持続するんですが、その後効果が薄くなっていったり。 つまり、持続可能な状態ではなくなってしまうという感覚です。
持続可能じゃないって何で起こるかっていうと、“規準”と“手順”と“水準”が合致しないと、現場って違和感を感じるんです。というものと、先ほどおっしゃっていただいた、企業の中には“共通言語”っていう企業独自でお互いに言葉を解釈する上で大切なキーワードってあるんですけど、共通言語の裏側には、『理解』『認識』『言動』って流れであり、考え方があるんです。 だから、これも丁寧に、言葉一つ一つと向き合って、コミュニケーションギャップを生みにくい、要は“言葉の構造”を意識して、ブレない見方、考え方、捉え方、行動の仕方の流れを創っていくっていうことなんですが、このような丁寧な言葉との向き合い方、『伝える』のではなく、『伝わる』為のコミュニケーション、考え方を浸透させるやり方は、僕の得意技の一つですね。
テーマパークってわかりやすいのが、一つの会社の中で使っている、例えば、CSを上げるって時にも、ディズニーの場合は“ハピネス”って伝えていたりとか、ユニバーサルスタジオジャパンの場合だと、“マジカルモーメント”っていう企業独自に生み出した独特な表現を使います。でも、これって多くの会社がつまづいてしまうのが、“ハピネス”って言葉を言えるようにはするんです。 つまり、社員全員に言葉自体を暗記させることはできるのですが。 けれども、その言葉の裏側にある意味づけというところに力をいれている企業様が少ないと思うんです。だから、社員さんは一人ひとりは、同じ言葉は言えるが、その裏側にある私たちが理解しなければならない適切な意味づけまで浸透しきれていない。
僕が企業コーチングやファシリテーションの技術、企業で扱う独特なコミュニケーションで何を現場に伝えているかっていうと、言葉の裏側にある“意味”っていうところをしっかりと捉える技術なんです。その技術において、例えば、しっかりとグルーピングし、カテゴライズ化して、言葉の意味づけの体系創りましょう!って言っているにもかかわらず、うまくいかない組織では、表層の言葉じりでグルーピングしてカテゴライズしちゃったりしてるんです。だから、意味づけの一貫性が、でにくかったり、誤変換するんですよね。 企業で扱うコミュニケーションでは、基本的な、基礎的な話ではあるんですけど、この基本であり、基礎が意外と組織で通ってないんですよね。
スタッフ:確かに通ってない企業が少なくないですね。
今井:そうなんです。だからそこの企業にて必要なコミュニケーションの基礎をしっかり身につけることに一番最初はすごくこだわっちゃいますね。ここをしっかりと扱わないと、どんなことをインプットしても表層の部分でのやりとりになってしまって、経営者、幹部の皆様が伝えたいことが現場に浸透しにくくなってしまうんです。だからこそ、基本に忠実に基礎を強くする。
スタッフ:うーん。よくいろんな企業で企業理念や経営理念みたいなお話をされて、「ウチは経営理念を浸透させたいんだよね」とか「企業理念を浸透させたいんだよね」っていうのはものすごい聞くんですけども、じゃあ企業理念を具体的に話せる人がいるのかっていうと…。
今井:そう、そうなんですよ。多くの企業様が困っている一つのポイントですよね。企業理念を伝えること(暗記した企業理念の言葉自体を間違えずに)はできると思うんですが、じゃあそれが本当に何を意味して、創業(社史)からどのように受け継がれて私たちの日々の業務に活かされ、自社らしさを表現する為の源になっているのか、なぜこの経営理念ができたのか、理念上すべきことと絶対してはならないことってところまで理解しながら業務遂行をしている人と、暗記した言葉じりだけで業務をしている人、ここでも大きな業務の質が違ってくるということは想像できますよね。
誤解を恐れずに言うならば、「理念を浸透させたいんだよ」って言ってるだけの人が多いようにもか感じる瞬間があります。
だから私が関わる企業様では、今、お話したようなことが起きないよう、研修の中にも、前提として浸透させる為の仕組みを入れちゃうんです。曖昧さを許容できない一つひとつの言葉の意味づけを明確にできる、そして手順、規準、水準も連動させ、思考、行動が明確になるような仕組みです。
この仕組みがないと、いくら研修やっても、その時点で、一人ひとりが違う解釈をして、理解を捉えちゃうと一体感がでなかったり、成果が出にくかったりするので。
スタッフ:そうですよね。ちょっと全然、少し話がずれちゃいますけれども、前に今井さんの前職の元上司の森岡さんのお話を伺った時に、人財育成の話を少しされてたんです。その時に、「人は基本的に変わらないから」っていうお話をされてたんですね。要は、水が上から下に流れるのと一緒で、人間は基本、本能として、楽なほう楽なほう、生存本能だからしょうがない。自分を守るために一番効率のいい楽な位置にいたがるから、それを、例えば、前向きに頑張ろう、とか、もっと頑張ろうっていうのは、生存本能からすると反してるので、それをやらせようっていうのはなかなか大変なんだよねっていうお話をされて、僕が今、覚えているくらいなので、相当なインパクトで僕聞いてたんだと思うんですけどね。生存本能が、人が楽をしようっていうことなので、もうしょうがないんだよね、そこがスタートだって話を。
今井:そう。それを僕たち現場クラスの人間がどういう風に咀嚼するかっていうと、「人って、変化することと安定したいっていう気持ち、どっちを好むと思う?」って質問するんですよ。そうすると、「安定したい気持ち」っていうんですよ。「そうだよね、安定したいよね」って。「でも、あなたにとって安定って何?」って。「何もしない、現状維持が、果たして安定なのか、変わらないために変わり続けるという“安定”なのか、どっちを選ぶ?」って。そうすると、ピンとくる人は、「変わらないために変わり続けることが本当の“安定”には必要ですよね」「そうだよね。じゃあ、その“安定”を手に入れる為には何が必要だと思う?」みたいなところから、どんどん“真の安定”というキーワードの因数分解をしていくんです。
スタッフ:いいお話を聞きました。そういうお話をされたりするにあたって、例えば、面談的なものがあったりだとか、結局、仕組みで話をできると思うんですよね。
今井:そうです。おっしゃる通りです。私がお世話になり、育てて頂いた企業は、社員数、アルバイト数が多い会社なので。仕組みで回していかないと、結局横に広がっていかないので。そこはもう仕組みが鍵ですよね。仕組みで動かすとさらに成果が出やすくなると思います。私自身も今まで様々な企業様をお仕事にて担当させて頂く上でも、仕組みがしっかりと機能している企業様はやはり業績が高く、安定しているということがありますよね。