「やりがい搾取」とは?やる気が出ないときにチェックしたい特徴と判断基準、具体的な対策方法
やりがい搾取は多くの問題を生み出します。「頑張ろう」という気持ちが大きい人ほど、やりがい搾取に気付かず無理をしすぎてしまうかもしれません。
本記事ではやりがい搾取の特徴と判断基準、具体的な対策方法を紹介します。
これってやりがい搾取……?
やりがい搾取が起きないように、対策方法を知っておきたい!
企業がやりがい搾取に陥らないように対策することが大切です。
自社の労働環境は「適切だ」と言えますか?
本記事を読めばやりがい搾取を回避し、心から望む働き方を得るチャンスが広がるので、ぜひ最後までご覧ください!
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「やりがい搾取」とは?やる気が出ないときにチェックしたい特徴と判断基準、具体的な対策方法
目次
働くうえで大切な「やりがい」とは
「やりがいのある仕事に就きたい」「感謝されるとやりがいを感じる」というように、多くの人にとってやりがいのある仕事は魅力的なのではないでしょうか。
そもそもやりがいとは、何かをしたときに得られる充足感ややって良かったと思える達成感を指します。
仕事においては、
・仕事の成果
・顧客または取引先からの感謝の言葉
・個人の営業成績アップ
・企業の売り上げへ貢献できた経験
などがやりがいにつながります。
やりがいを感じるポイントは人それぞれです。本当に好きなことができているかによってやりがいの大きさが変わったり、誰かの役に立つことがやりがいを感じるポイントだったり、人それぞれ異なりますが、すべての人にやりがいは欠かせません。やりがいがない仕事は業務に対するモチベーションが高まりにくくなります。
やりがいを感じながら働くことでやる気がさらにアップし、仕事やプライベートの充実化につながるのです。やりがいはモチベーションを高める大切な要素の1つで、上手に活かせば人生を飛躍させるきっかけとなりますよね。
従業員がやりがいを感じながら前向きに働ける環境を整えることは企業や組織にとって重要です。やりがいの大切さを意識しながら職場環境の見直しをしていきましょう。
やる気を奪うやりがい搾取とは
やりがい搾取とは、企業側が従業員の勤労意欲(やりがい)につけ込み、度を超えた働き方を強いることです。
「やりがい搾取」は、東京大学大学院教育学研究科教授・社会学者である本田由紀氏<外部リンク:東京大学HP>が著書で使用したことで広まりました。2007年前後に定義された労働搾取構造を意味しており、2011年の著書(『軋む社会――教育・仕事・若者の現在』河出書房新社、2011年)では、搾取に結びつきやすい「やりがい」を4つ挙げています。
【搾取に結びつきやすいやりがいの例】
・趣味性
・奉仕性
・ゲーム性
・サークル性/カルト性参照:本田由紀氏著『軋む社会――教育・仕事・若者の現在』河出書房新社、2011年
利潤を追求している企業の特性上、働き手を酷使してまで利益をあげようとする企業がまれにあります。従業員は「やりがいがあるから……」と現状を受け入れるしかない状況に追い込まれ、長時間労働や低賃金などの理想とかけ離れた勤務形態を余儀なくされてしまいます。この状況が続けば、従業員は「やりがいはあるのに正当な対価が得られない」と違和感を覚えるでしょう。
利益の追求が優先事項となるあまり社員の適度な働き方を無視し、組織の健全性を損なう結果となるのです。
やりがい搾取の具体例と対策
やりがい搾取はどのような場合に当てはまるのか、具体例をみていきましょう。一つひとつ対策もご紹介するので、「もしかしてやりがい搾取?」と感じたときは適切な対策を講じましょう。
ここでは、以下の4つの具体例をご紹介します。
・社内イベント等へ参加したかどうかで待遇を変える
・契約形態に対して不当な業務量を強いる
・給与の未払いや低賃金での労働を強いる
併せてそれぞれの対策もお伝えするので参考にしてくださいね。
社内イベント等へしたかどうかで待遇を変える
自分の業務に直接関係ない研修や、飲み会、勉強会やボランティア活動に、強制的に参加させる行為はやりがい搾取につながる可能性があるため注意しましょう。
本来は携わっている業務をしっかりとこなしていれば、プライベートな時間を割く必要はないものです。本業以外のイベントへの参加可否は、社員が自由に選択する権利があります。勉強会であっても、それが自由参加であるならば参加を強制することはできません。
任意参加の活動やイベント行事に参加しなかったからといって、「昇進を遅らせる」「参加しなくても会費を徴収する」「参加しない人だけ会話に入れない」などの行為はやりがい搾取です。
対策
全員参加するのが昔から当たり前だったから、などの古い固定観念や暗黙の了解を見直しましょう。長らく当然とされてきた終身雇用制度はすでに終わりを迎えたといわれています。
現代は年功序列よりも実力主義となっており、個人の意思や考えがより尊重される時代です。一人ひとりの「選択の自由」がより一層認められている昨今において、イベントや飲み会への参加を強要するのはやりがい搾取のみならずパワーハラスメント(パワハラ)だと言われかねません。
参加不参加は自由に選択できる環境を整えましょう。今後は会社だけに依存することなく、個々人が活躍する流れがますます加速するとされています。時代の変化に合わせた柔軟な方針転換こそが、経営の大事な舵取りの1つです。
契約形態に対して不当な業務量を強いる
やりがいのある仕事だからといって、過剰な労働を強要してはなりません。例えば、試用期間であるにも関わらず告知や契約に関する説明もなく雇用し続ける、アルバイトまたはパートタイマーなのに正社員と同等の責任ある仕事を任せる、といった環境はやりがい搾取だといえます。
具体例を挙げてみましょう。
メーカーの工場内などでは、製品の仕上げをはじめとする現場仕事はパートを採用して回すところもあります。その際パート側の立場からすると、正社員なみのマネジメント業務も任されれば割りに合いません。給与体系が異なるにもかかわらず、同等の業務内容ではやる気も下がってしまいますよね。本来受け持つ役割に対する認識が甘く、業務の境界線がはっきりと区切られていないのが原因です。
試用期間が不当に長い場合、従業員本人からは言い出し辛く、不安を抱えながらも試用期間の条件で働き続けてしまう人は少なくありません。法律上では明確に定められていませんが、試用期間は1〜6か月が一般的です。
対策
雇用に関する規定の見直しに加え、従業員へ浸透させる必要があります。まずは現存する規定で、業務範囲が不明確な箇所があれば修正しなければなりません。本来の業務枠を超える勤務により、結果的に低賃金となってしまう事態を阻止するためです。
そして新たな規定の内容を踏まえて、非正規雇用者が不当な扱いを受けないように改めて社員教育の徹底が求められます。
試用期間についても同様に、不当に長期化しないよう一般的な水準とかけ離れていない期間を明示します。適用されるべき給与体系から逸脱せず、従業員が本来受け取る賃金を下回る事態から守らなければなりません。
給与の未払いや低賃金での労働を強いる
給与未払いが複数回にわたって確認されている、最低賃金未満の雇用条件で労働させられている場合等は労基法、最低賃金法に違反していることが考えられます。
労働基準法第24条において、使用者には労働者への賃金の支払いを月に1回以上行う必要があると定められています。
労働基準法第24条
賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
さらに、所定の要件を満たさずに最低賃金未満で雇用すると最低賃金法違反となります。
最低賃金法 第4条
使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
給与の未払いと最低賃金以下での支払いは、労働基準法・最低賃金法でそれぞれ明確に禁止されており、法律違反となる決してあってはならない行為です。いわゆるブラック企業では、残念ながら違法行為が横行している事実がときに話題に上ります。自社がそういった状況に陥らないように、対策しましょう。
対策
法律違反につながりかねない以上、社会的ルールの意識づけやコンプライアンス遵守の意識改革が行われなければなりません。関連する法律の内容を、改めて認識させることもまたしかりです。法律違反は社会に重大な影響を及ぼし、違反すれば企業のブランドイメージや信用低下につながります。
まずは、企業や組織が正しく法律を理解することが重要です。働き方改革などの影響もあり、最低賃金の引き上げが行われている可能性もあります。「知らなかった」では済まされない話題でもあるため、しっかりとニュースをチェックしておきましょう。
まとめ
やりがい搾取は従業員を巧みに利用して利益主義を強めるため、正しい対策を講じなければなりません。搾取する手段はさまざまで、それぞれに合った対応を行って解消につなげましょう。
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