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講演会レポート

《アクト・パートナーズ講演レポート🎙️》【優秀な人材ほど早く辞めるのは何故か】 ~リテンション(定着率)を上げ、万が一の連鎖退職に備える手法~

元経営者であり早稲田大学大学院ビジネススクール非常勤講師を務められている松野尾萌さん。

今回は経営者の方を対象にした人手不足対策の講演でご登壇いただきました。

主催者の方は、これからますます厳しくなると考えられている人手不足を問題視しており、少子高齢化が進む時代のなかで、定着率向上や事業展開について、どう対応していくかを考えないといけない、という悩んでおり、人材育成の現場に携わっていた松野尾さんを紹介してほしいと弊社にご相談いただきました。

松野尾さんは、30年以上の経営・マネジメント経験のなかで、社員の離職・整理、人材育成に携わってきたご経験があります。
今回の講演では「【優秀な人材ほど早く辞めるのは何故か】 ~リテンション(定着率)を上げ、万が一の連鎖退職に備える手法~」について、大きく分けて以下のお話をしていただきました。

・労働人口減少の現状
・優秀な人や新入社員が離職する原因
・人手不足対策
・定着率向上について

将来直面する人手不足対策について、長年人材育成に携わってきた松野尾さんの講演をレポートします。

概要
講師     松野尾 萌
講演日    2024年11月
講演時間   90分(質疑応答含む)
講演テーマ  「【優秀な人材ほど早く辞めるのは何故か】 ~リテンション(定着率)を上げ、万が一の連鎖退職に備える手法~」

労働人口減少の現状と労働環境について

松野尾さん講演お写真

松野尾さんは、人手不足の対策はあるものの、少子高齢化の時代では残念ながら人が減っていくことは避けられないため、人が減ったときにどうするかを含めてお話していただきました。

まずは投影した資料のグラフを用いて、65歳以上の高齢者が増えている一方、労働人口である15歳〜64歳の人口は右肩下がりになっている現状について解説されました。

私がこのグラフを拝見した時、1年あたりの減少幅はそれほど大きくないため、少しずつ減少していくのは避けられないものの、「緩やかに下がっているのだな」と感じ、あまり危機感を覚えませんでした。

しかし、ここで松野尾さんが数値を用いて具体的に説明してくださり、その重要性がより明確になりました。

2020年時点であたり約7500万人の労働人口は、2060年ごろには約4500万人という試算が出ています。
40年で3000万人もの労働人口が減ることになり、単純計算で1年で約1.1%、10年で約11%、20年で約22%の労働人口が減ることになります。
現在100人の従業員がいる会社が、10年後には89人に減少すると考えると、その変化をリアルに想像できて深い危機感を覚えました。

また、時代がかわるにつれて労働環境が変化し、転職が当たり前になったことにより、離職率も変化したというお話しは私も共感しました。

2022年のデータによると、離職率は平均15%であり、なかでも新卒者の早期離職率は30%と高い数字になっています。
新入社員が企業を選ぶ際に重視しているポイントは「仕事内容」や「仕事面」が多いそうですが、「仕事内容」「仕事面」を重要視して入社したのに、結果的に退職してしまう。ここにミスマッチが生じていると松野尾さんは語ります。

優秀な人や新入社員が離職する原因

松野尾さん講演お写真

松之尾さんは過去の経験で、松野尾さん自身が数年の海外赴任から帰ってきた後、優秀な方や責任者に抜擢された方が全員辞めていたことがあったそうです。

人材育成の現場に携わった経験と、松之尾さん自身の転職経験から、以下の理由が考えられるとのことでした。

・企業の将来性に疑問を感じた
・面白いアイデアが将来性のリスクを恐れて却下される
・成長・チャレンジできない環境

ここには日本の国民性の一つである「不確実性回避が高い」ことが表れていると、松之尾さんは語ります。
不確実性回避とは、将来の不確実性を嫌ったり、変化を嫌ったりすることで、チャレンジしたり新しい動きに躊躇いがあることです。

また、新入社員はやりがいのある良い仕事をして達成感を味わいたい一方で、チャレンジしたいとき・アイデアを提案したときに「ダメだ」と却下されてしまうと、やりがいがなくなってしまう傾向があるそうです。

たしかに、チャレンジしたいと思って提案したアイデアが、理由もなく「ダメだ」却下されたり、一度も検討されずに流されてしまったりすると、「どうせ言っても無駄だ」「提案しても見てもらえない」といったネガティブな考えに陥ってしまうのも無理はないと感じました。

しかし、企業も業績を維持しなければならない以上、新入社員や若手社員のアイデアを全て採用するのは難しいですよね。ここが一番ネックになると私も頭を捻りました。

ではどうすれば良いのか?その答えを松野尾さんは以下のように語ります。

『たとえ採用できないアイデアでも、一度は意見を受け止める・社内全体が受け入れる「心理的安全性の高い職場」をつくること』

心理的安全性とは、どんな意見を言っても怒られない・受け入れてくれる、意見をどんどんあげてほしいという環境をつくることで、やる気のある社員が増え、離職率は低下し生産性が高くなる。その結果、業績も上がる好循環が生まれるとのことでした。

このお話を聞いて、たとえ提案したアイデアが採用されなくても、一度受け入れて検討し、明確な不採用の理由が示されれば、提案した方は納得できるのだろうと感じました。

その他にも、新入社員だけでなく、中間管理職や中堅社員へのアプローチの重要性や、具体的にどのような改善が必要かといったポイントについても、多くのお話を伺いました。

人手不足対策

松野尾さん講演お写真

松之尾さんは人手不足について改善できる部分を以下のとおり挙げられました。

・女性の離職率
・障害者雇用
・外国人人材
・生成AI

女性の離職率

女性はすでに働いている方が多いため、ここで必要なのは「いかに離職率を下げるか」について、具体的な方法をお話しされていました。

女性は、妊娠・出産・育児といったライフステージの変化によって、生活スタイルが大きく変わりやすい傾向があります。
最近では男性の育児参加が進んでいるものの、子どもの生活リズムに合わせたスケジュール調整や、急な病気への対応を主に担っているのは、依然として女性である場合が多いのが現状です。

そのため、ライフスタイルに合わせて柔軟に働けるよう、フレックスタイムやテレワークなど、一人ひとりのニーズに合った働き方を提供することが非常に重要とのことでした。
実際、筆者自身も生活環境の変化に伴い働き方を見直さざるを得なかった経験があり、このお話には深く共感しました。

障害者雇用

障害者雇用に関しては、いろんな障害者の方がいるためひとくくりにはできませんが、企業により良い影響をもたらしてくれるお話などをしていただきました。

経営難に陥っていた企業が、一人の障害者を受け入れたことで社内に優しさの輪が広がったという事例を聞いたとき、「本当にそんなうまくいくことがあるのだろうか?」と半信半疑でした。
しかし、実際にどのような変化が起きたのか具体的に解説をいただき、「たしかに自分も変化するかも」と共感した事例でした。

外国人人材

外国人の方は学歴が高い方や優秀な方も多くいます。
しかし、文化の違いからストレスを抱えてしまうこともあるため、実際に受け入れるには何が必要かなどをお話しいただきました。

また、外国人の方をひとくくりにするのではなく、一人ひとりの個性や背景を尊重しながら、心理的安全性を確保し、安心して話せる環境をつくることの重要性が挙げられていました。

確かに、自分がもし外国で働くことを考えたとき、どれだけその国で働く意欲があっても、不安を感じるのは自然なことだと思います。その不安を和らげ、安心感を与えてくれる職場に出会えたら、「ここで頑張りたい!」という意欲が自然と湧いてくるだろうと、改めて実感しました。

生成AI

急速に進化している生成AIは、これからまだ伸びてどんどん良くなることでしょう。
しかし、業務上に活用するにはセキュリティに注意が必要な面もあるそうです。
生成AIにどこまで業務を任せるのか、どんな業務を任せるのか、社内での線引きをしなければならないそうです。

私自身、生成AIを使用した経験があるため、このお話を聞いて、しっかりと方向性を定めて考えるべき重要な課題だと感じました。

講演を聞く前は、人手不足についてどのように考え、対処すれば良いのか想像がつきませんでしたが、このお話を通じて具体的にイメージできるようになりました。

定着率向上について

松野尾さん講演お写真

講演最後には今いる社員の定着率向上についてお話しいただきました。

・人材の適材適所への配置
・キャリア開発
・心理的安全性の向上
・成長できる、チャレンジできる環境

以上の内容は、これまでご講演いただいた内容であり、振り返りつつ解説していただきました。

また上記以外にも、辞めてほしくない社員に対して効果が出やすい具体的な方法もお話しいただき、「確かにこれなら私も退職を踏みとどまるだろうな」と感じる内容で、大変勉強になりました。

お客様の声

受講後には、「現在の離職率の高さの原因が理解できた」「人手不足対策について学びになった」といったお声をいただきました。
さらに、「こういった問題についてどう思いますか?」といった質問が飛び交い、活発な質疑応答や情報交換の場となりました。

これから人手不足が加速していくことが予想される現在、早めに手を打ちたい経営者様・管理職・幹部の方におすすめの講演です。

経験豊富なスタッフと講師が多数在籍している講演サーチでは、いつでも無料相談を承っています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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