《舟津昌平氏 講演レポート🎙️》Z世代化する社会・職場を読み解く
教授を務められている経済学者の舟津昌平さん。
新入社員や若手社員との関わり方について悩む経営者の方へ、
Z世代化する社会・職場を読み解く “お客様”になっていく若者たちとの職場での接し方
というテーマでご講演いただきました。
舟津さんの講演では、これまで当たり前だと思い込んでいた “若手像” を改めて考え直す場面が多くありました。
若手の離職や価値観の違いに悩む経営者・管理職が陥りがちな “思い込み” を丁寧にほどきながら、若手理解の新しい視点を提示してくださいました。
新入社員や自分より若い部下と接するときに困ってしまう方に聞いてみてほしい講演です。
・若手の定義
・若者が持っている不安
・企業の投資対象と人材育成
《アクト・パートナーズ講演レポート》
講演概要
| 講師 | 舟津 昌平氏 |
| 講演日 | 2025年9月 |
| 講演時間 | 90分 |
| 講演テーマ | 「Z世代化する社会・職場を読み解く “お客様”になっていく若者たちとの職場での接し方」 |
若手の定義
舟津さんの講演では、まずはじめに「若者とはなにか」「若者とは何歳なのか」という根本的な問いから始まりました。
これを聞いたとき、私は「若者といえば自分より若い人」を思い浮かべましたが、”若い人”はその人の主観によるところがありますよね。
舟津さんご自身も30代で若者に関する著書を出した際、「若い人が若手の本を書いている」と言われた経験があるそうです。
ニュースでは「若者の転職率」や「最近の若い人は〜」と語られますが、そもそも“若手”とは何歳を指すのか、という本質的な問いは意外と明確になっていません。
30代が“若い”と感じるのは20代、40代にとっての“若い”は20〜30代。
つまり、若さの基準は年齢や立場で変わる——その視点は大きな気づきでした。
最近の若手はすぐ辞める?
「最近の若者はすぐ辞める」と言われますが、舟津さんは「それは本当なのか?」と疑問を投げかけます。
実は“最近の若者は……”という言葉は40〜50年前の文献にも登場しており、若者に対する見方は昔からあまり変わっていないのだそうです。
さらに、早期離職率についても、近年と過去で大きな差はないことがグラフで示されました。
私自身が特に印象が残ったのは、「若手に対する評価は、アンケート設計や質問の文脈によって大きく変わり得る」という点でした。
「飲み会離れ」も、質問の仕方次第では「参加したい」という回答が多くなるケースがあり、若者の本質ではなく、調査方法によって“若者像”がつくられてしまうこともありそうです。
また、ニュースで取り上げられる飲み会離れのアンケート結果が頭をよぎり、世間に流れるイメージから “若手は飲み会に来ない” と決めつけてしまう先入観こそが、コミュニケーションを阻害する一因になっているという話も印象的でした。
飲み会に誘ってみて、ダメなら理由を聞いてみる。シンプルなことですが、意外とできていない雰囲気があるように思いました。

企業の投資対象と人材育成
日本では「賃金が30年間上がっていない」と言われていますが、背景には 人材以外への投資が優先されている構造的な問題 もあるようです。株主への配当金が求められる中で、人材育成や設備更新への投資は後回しになりがち。
しかし、古い設備や道具を使って働くのと、新しい設備や道具を使って働くのでは、生産性に大きな差が出るのは明らかです。
経営者の方はまさにここがネックになりそうだなと感じました。
しかし、これから人手不足になる未来は避けられそうにありませんよね。
舟津さんは、「数の問題」だけでなく、経験を積んだ“質の高い人”が辞めてしまうことへの危機感を強調されました。
少子化により大学では学生がお客様扱いされる傾向があるため、社会に出て“お客様ではなくなる経験”に若手が戸惑うという指摘も印象的です。
今回の講演を通して筆者が感じたこと
舟津さんの講演は、若手との関わり方に悩む管理職だけでなく、年代や立場を問わず多くの方に新しい視点を与えてくれる内容でした。
特に「思い込みを一度はずして相手を見る」という姿勢は、職場のコミュニケーションを見直す大きなヒントになると実感しました。
若手育成や職場の活性化に取り組む企業様に、ぜひおすすめしたい講演です。
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登壇講師
舟津 昌平
経営学者/東京大学大学院経済学研究科講師






