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人が辞めない職場の共通点は「笑顔」にあった――人手不足に悩む職場が知りたい真実【三上康一講師コラム】

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人が辞めない職場の共通点は「笑顔」にあった――人手不足に悩む職場が知りたい真実【三上康一講師コラム】

執筆講師

三上康一さんお写真三上康一(みかみ こういち)
三上 康一(みかみ こういち)

株式会社ロードサイド経営研究所代表取締役

「人が辞めない職場」には、ある共通点があります。それは、特別な待遇でも、最新の福利厚生でもありません。

キーワードは、“笑顔”。

笑顔のある職場では、スタッフの定着率が大きく向上し、採用の悩みも驚くほど改善していきます。

この記事では、人手不足が慢性化する今だからこそ見直したい、「笑顔が職場にもたらす本当の力」について、実体験を交えてお伝えします。

■ カーネギーが説いた「笑顔の効果」とは?

デール・カーネギー(Dale Carnegie)は、名著『人を動かす(How to Win Friends and Influence People)』の中で、笑顔の持つ計り知れない力について深く説いています。彼の主張は、単なる「感じのいい態度」という以上に、人間を動かす本質的なツールとしての笑顔に重きを置いています。

・人間関係の潤滑油になる

カーネギーは、次のように述べています。

「笑顔は、何よりも人の心を開く鍵である」

人は誰しも、「自分を歓迎してくれる相手」には心を開きやすくなるものです。笑顔はその“歓迎のサイン”であり、言葉を超えて「あなたを好意的に思っています」「あなたに友好的です」というメッセージをストレートに伝える最も効果的な手段です。どんなに素晴らしい商品やサービスがあっても、無表情なスタッフでは顧客は心の壁を感じてしまいます。笑顔は、その壁を打ち破り、スムーズなコミュニケーションの土台を築きます。これは、顧客との関係だけでなく、職場内の同僚や上司・部下間の信頼関係構築にも不可欠です。

・相手に良い印象を残す

カーネギーはこうも言っています。

「あなたの笑顔は、あなたが他人に与える最高の贈り物のひとつである」

初対面の印象は、視覚的情報によってわずか数秒で形成され、その後の関係性に大きな影響を与えます。笑顔は、「この人は安心できる」「親しみやすい」「一緒にいたい」と相手に無意識に感じさせる力を持ちます。これは、接客現場での第一印象はもちろんのこと、商談の場、あるいは上司と部下の日常的なコミュニケーションにおいても絶大な効果を発揮します。

・自分の気分も前向きにする

カーネギーは、笑顔を「自分を変える行動」としても強く推奨しています。

「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」

これは、感情と行動の密接な関係を示唆しています。つまり、笑顔は相手に影響を与えるだけでなく、自分の内面にもポジティブな影響を与えるということです。スタッフが笑顔でいることで、彼ら自身のストレスレベルが下がり、エンゲージメントが高まる効果が期待できます。笑顔は、私たち自身の幸福感と活力を高める強力なセルフケアでもあるのです。この内面からの変化は、結果的に仕事のパフォーマンス向上や人間関係の円滑化にもつながるでしょう。

・相手の反応を変える

カーネギーは、対人関係において「まず自分からポジティブな感情を与える」ことが極めて重要だと説いています。その最も簡単で、かつ最も効果的な手段こそが「笑顔」なのです。あなたが笑顔で接すれば、お客様も笑顔を返してくれる可能性が高まりますし、同僚との会話も和やかな雰囲気で進みます。このポジティブな連鎖が、職場の空気全体を変え、より生産的で協力的な環境を作り出すのです。

 ■ スタッフの笑顔を引き出す、3つの実践策

かつて私が店長を務めていたあるガソリンスタンドでは、「笑顔を仕組み化」する取り組みを通じて、驚くほど良い結果が出ました。具体的には、スタッフの退職率が大幅に低下し、それまで応募が少なかった採用活動も改善。さらには、大学生アルバイトスタッフが卒業後の進路として、この職場を選んでくれるまでになったのです。

特別な研修や高額な外部講師などは一切使っていません。実践したのは、以下に示す次の3つのシンプルながらも強力な方法だけです。

(1)スタンバイスマイルの習慣化

「スタンバイスマイル」とは、軽く奥歯を噛み、両方の口角をわずかに上げた表情のことです。これだけで、顔全体の表情が柔らかくなり、いざお客様に話しかけられた時や、他のスタッフと目が合った時に、すぐに自然な笑顔へと移行できます。これは、笑顔を作るための「心の準備」であり「表情筋のウォーミングアップ」ともいえます。

例えば、ガソリンスタンドの店頭で待機するスタッフに、この表情を常に意識して習慣づけるだけで、お客様からの第一印象が格段に良くなります。お客様は、表情の硬いスタッフよりも、柔らかな表情で待機しているスタッフに声をかけやすくなります。笑顔を「作る」のではなく、“笑顔になりやすい状態”を常に作っておくことが、自然で親しみやすい印象を与えるポイントです。

このスタンバイスマイルは、お客様との接客だけでなく、スタッフ同士のコミュニケーションにも非常に効果的です。無表情や仏頂面が減ることで、職場の雰囲気全体がぐっと明るくなり、気軽に声がかけやすくなります。結果的に、チーム内の連携もスムーズになり、情報の共有や問題解決も迅速に進むでしょう。スタッフ同士の良好な関係性は、離職率低下に直結する重要な要素です。

(2)口角を上げる“筋トレ”

「笑って」と指示されても、うまく自然な笑顔が作れない人がいます。特に年齢層が高いスタッフや、普段あまり表情筋を使ってこなかった人は、ぎこちない笑顔になってしまいがちです。これは、口角を上げるための表情筋が衰えていることが原因である場合が多いのです。笑顔は筋肉の運動であり、使わなければ衰えます。

そこで行っているのが、誰でも簡単にできる“口角トレーニング”です。

①まず、左右どちらかの口角だけを意識して、できるだけ高く上げてみる。まるで片方の口角で物を挟むかのように意識すると分かりやすいでしょう。
②その状態を数秒キープしつつ、今度は反対側の口角も同じように上げてみる。最初の口角が下がらないように意識するのがポイントです。
③最後に、両方の口角を同時に、そして自然にキープする練習を数秒間行う。鏡を見ながら練習すると、自分の表情の変化が分かりやすく、モチベーション維持にもつながります。

この一連の動作を繰り返すことで、笑顔に必要な表情筋が効果的に刺激され、鍛えられます。継続することで、鏡を見ながらでも「自然な笑顔」を作れるようになります。

(3)笑顔を“承認”する文化づくり

いくら笑顔の訓練を重ねても、それが正しく評価され、報われなければ、人はその行動を続けるモチベーションを保つことができません。人は誰しも、自分の努力が認められることで喜びを感じ、さらなる行動へと駆り立てられるものです。

そこで、職場で最も欠かせないのが、上司や先輩による「承認の声かけ」です。

例えば──

「今のお客様への対応、笑顔がとても明るくて素敵だったね。お客様もとても喜んでいたね!」
「君の笑顔って、本当に安心感があるよね。見ていると、こちらも気持ちが和むよ。今日もありがとう!」
「今日の職場の雰囲気がすごく明るかったのは、君の笑顔のおかげだよ。いつも盛り上げてくれてありがとう!」

こうした具体的で、タイムリーな承認の言葉は、スタッフの自信を大きく育み、「この職場で働き続けたい」「もっと貢献したい」という強い動機付けになります。単に「ありがとう」だけでなく、「具体的に何がどのように良かったのか」を伝えることが重要です。人は「認められた行動」を積極的に繰り返したくなるものだからです。承認は、単なるお世辞ではなく、スタッフの行動を強化し、職場のポジティブな文化を育むための重要な投資なのです。

■ まとめ:人手不足を「仕方ない」で終わらせない

人手不足は、高額な時給や複雑な待遇改善の問題だけではなく、根本的な「笑顔のない職場環境」によって引き起こされている可能性が高いと言えます。

デール・カーネギーも説いたように、笑顔は人の心を動かし、空気を変え、最終的には組織全体のパフォーマンスを向上させる、最強のツールです。

今回ご紹介したように、スタンバイスマイルの習慣化、口角のトレーニング、そして日々の小さな承認。この3つのシンプルな実践だけでも、職場の雰囲気は劇的に変わります。スタッフ一人ひとりの笑顔が、連鎖反応のように広がり、やがて職場全体を明るく照らす光となるでしょう。

笑顔は「人が自然と集まり、辞めない職場」の土台であり、最強の採用戦略といえるでしょう。

 

執筆講師

三上康一さんお写真三上康一(みかみ こういち)
三上 康一(みかみ こういち)

株式会社ロードサイド経営研究所代表取締役

  

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