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人材定着率を劇的に高める!リーダーが磨くべきたった一つの資質:「運を呼ぶポジティブ思考」【三上康一講師コラム】

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人材定着率を劇的に高める!リーダーが磨くべき「運を呼ぶポジティブ思考」

執筆講師

三上康一さんお写真三上康一(みかみ こういち)
三上康一(みかみこういち)

株式会社ロードサイド経営研究所代表取締役

中小企業にとって「人材の定着」は喫緊かつ重要な課題です。人手不足が常態化し、採用コストや教育投資が増加する一方で、せっかく育てた人材が早期に離職してしまえば、その損失は計り知れません。さらに、経験やスキルを持った人材が離れることで、チームの士気や生産性にも悪影響を及ぼし、組織の成長スピードは確実に鈍化してしまいます。

こうした背景の中で、今あらためて注目すべきなのが、「リーダーの在り方」です。とりわけ、メンバーの心に希望を灯し、前向きに仕事へ向かわせる「ポジティブ思考」は、離職を防ぎ、人材の定着を促すうえで極めて強力な武器になります。

本記事では、2022年のイグノーベル賞経済学賞を受賞した「才能と運の関係」に関する研究と、パナソニック創業者・松下幸之助氏の名言を手がかりに、「運を味方につけるポジティブ思考」がいかに組織に好循環を生み、人材定着率を高めるのかを紐解いていきます。

■成功を左右するのは「運」:イグノーベル賞が示す真実

「努力すれば報われる」「才能があれば成功できる」——これは多くのビジネスパーソンが信じている“成功の公式”かもしれません。しかし、この常識に疑問を投げかけたのが、2022年にイグノーベル賞経済学賞を受賞した、ある画期的な研究です。

・イグノーベル賞とは?

イグノーベル賞は、アメリカ・ハーバード大学のサンダースシアターで毎年行われるユニークな授賞式で、「人々を笑わせ、そして考えさせる研究」に与えられる国際的な賞です。いわば“奇抜な切り口から世界を見直す”ための賞で、ユーモアの裏に鋭い社会的・科学的洞察が隠れています。

その年の経済学賞を受賞したのが、「成功・才能・運の関係性をシミュレーションで明らかにした研究」でした。

参考:Improbable Research「Improbable Research
参考:ResearchGate「TALENT VERSUS LUCK: THE ROLE OF RANDOMNESS IN SUCCESS AND FAILURE

・才能と運、どちらが成功を決めるのか?

この研究では、架空の1,000人にランダムな「才能値(偏差値)」を与えた上で、それぞれの人物が長期的にどの程度の「成功」を収めるかを、40年間にわたるシミュレーションで検証しました。

毎年、彼らの人生にランダムに「幸運な出来事」や「不運な出来事」が発生するように設定され、どのような要因が最終的な成功を左右するのかを分析したのです。

その結果、驚くべき事実が浮かび上がりました。

・最も成功した人物の才能値は、「偏差値55〜60」程度。つまり、ほんの少し平均より優れているだけだった。
・一方で、「平均より才能が高い人」でも、運が悪ければまったく成功しないケースも多く、
・逆に、「才能は平凡かそれ以下」でも、良いタイミングで幸運が重なることで大きな成功を収める人がいた。

この研究結果は、従来の「才能至上主義」や「努力万能主義」に対する強烈なカウンターパンチと言えるでしょう。

・「運」が成功の決定打になる理由

この研究が示している本質は、単なる偶然性ではありません。ビジネスや人生における「運」は、以下のようなかたちで成果に直結します。

・タイミングの良さ(誰よりも先に情報を得る、適切な瞬間に決断できる)
・偶然の出会い(顧客・上司・パートナーなど)
・想定外の外的要因(社会の変化・経済情勢・技術革新など)

これらは、自分では完全にコントロールできない一方で、成果に大きな影響を与える要素です。

つまり、ビジネスの現場で成功を収めるためには、「才能や努力」だけでは足りず、「運を味方にできる力」、すなわち前向きにチャンスを見出し、行動に移せる思考様式が極めて重要なのです。

この「運の重要性」を、科学的な研究よりはるか昔から理解し、経営哲学に取り入れていたのが、パナソニック創業者の松下幸之助氏です。

■「運の良さ」はリーダーの必須スキル:松下幸之助氏の教え

松下氏は、新入社員の採用面接で必ず「あなたは、自分が運のよい人だと思いますか」と問いかけました。そして、「運が悪い」と答えた応募者は、どれだけ学歴や成績が良くても採用しなかったと言われています。

松下氏自身、貧しい出自や病弱な身体など、一見すると不運に見える状況を、「貧しかったから無理な経営をしなかった」「学歴がなく身体が弱かったから、多くの人の力を借りることができた」とポジティブに捉え直していました。

松下氏が求めたのは、単なる楽観主義者ではありません。

「運が良いと自認している人」は、自分ではコントロールできない不測の事態を受け入れ、コントロール可能な側面に目を向け、前向きな解釈に変換できる人です。この「出来事をチャンスとして捉え直す力」こそが、リーダーシップと人材定着において極めて重要になります。

■ポジティブな解釈が定着率を高めるメカニズム                          

リーダーがネガティブな出来事をポジティブに捉え直すことは、以下の理由でチームの人材定着率を直接的に高めます。

・心理的安全性の向上:リーダーが前向きな姿勢を示すことで、組織全体に「困難な状況でも乗り越えられる」という安心感と活力が生まれます。
・未来への希望の提示:不確実な時代において、リーダーの前向きな解釈は、社員に対し「この会社には成長の機会がある」という明確な希望を与え、将来への不安を解消します。
・組織文化の醸成:ネガティブな側面ばかりを見るリーダーの下では不安や不満が蔓延しますが、ポジティブなリーダーは「前向きな挑戦を尊ぶ文化」を醸成し、社員のエンゲージメント(愛着)を高めます。

以下ではネガティブ思考が強いリーダーは、組織に不運と離職を引き寄せてしまうことを研究結果をもとに見ていきます。

■ネガティブ思考が呼び寄せる「不運」と「離職」

米国の心理学者の調査(ジョン・グローガー氏、2007年)が示したように、ネガティブ思考は、運転中の不注意や攻撃的な行動など、リスクの高い行動を引き起こし、結果的に交通事故などの不運な出来事につながります。

これはビジネスにおいても同じです。

リーダーのネガティブな発言や態度 → メンバーの士気低下、挑戦意欲の減退、萎縮 → 失敗の可能性が高まる → 組織が不運な結果につながる

この悪循環は、「うちの会社はいつもダメだ」「挑戦しても無駄だ」という諦めムードを生み、最終的に優秀な人材の離職へと繋がります。人材定着のためには、まずリーダーがこのネガティブな連鎖を断ち切る必要があります。そのための具体的な方法として生成AIの活用が挙げられます。

■AIを活用して「運を磨く」実践的な方法

リーダーシップの質を高め、組織に幸運を引き寄せ、人材定着率を向上させるための第一歩は、ネガティブな出来事をポジティブに捉え直す思考の習慣を身につけることです。

その訓練ツールとして、生成AI(ChatGPT, Gemini, Copilotなど)を活用できます。

【実践ステップ】ネガティブ思考をAIで修正する

1. ネガティブな感情や事象を具体的に言語化する。  

例:「今期の売上が目標未達に終わり、チームの雰囲気が最悪だ。」

2. 生成AIに「これをポジティブに変換するとどうなるか?」と尋ねる。  

AIの回答例:「売上未達は、現在の戦略やプロセスの見直しが急務であるという明確なサインです。これは、メンバー全員で現状を打破する新たな挑戦の機会であり、早期に問題を特定できたという幸運な出来事でもあります。」

3. AIの回答を参考に、別のポジティブな視点を探す。  

例:「この経験を次の計画に活かすことで、より強固なチームビルディングができる機会だ。」

生成AIを「ポジティブ変換の壁打ち相手」として活用することで、リーダーは、どのような状況でも「最善の解釈」を見つけ出す訓練を効率的に行うことができます。

■おわりに:ポジティブ思考こそ、定着率を劇的に変える経営戦略

人材が定着するかどうかは、待遇や制度だけで決まるものではありません。  

もっと本質的な部分、すなわち「この会社にいれば、前向きに働ける」「ここには希望がある」と社員一人ひとりが感じられるかどうかが鍵を握っています。

その空気感をつくるのが、まさにリーダーの「思考の質」——特にポジティブに物事を捉える姿勢です。

結果が出なかったときに、どう捉えるか。  
変化が起きたときに、どう言葉をかけるか。  
困難な状況で、どこに希望の種を見出せるか。  

こうした小さな積み重ねが、メンバーの心に影響を与え、職場の雰囲気をつくり、やがて定着率という「数字」に表れてきます。

そして、ポジティブな思考は才能ではなく、習慣として鍛えることができます。

生成AIなどのツールを活用すれば、いつでも前向きな思考への変換訓練ができ、リーダー自身が「運を呼び込む存在」へと進化していくことが可能です。

努力と才能に「運を味方につける力」を掛け合わせたとき、組織は初めて本当の意味で加速します。まずは、あなた自身の思考から変えていきましょう。それが、人材が辞めない会社づくりの第一歩です。

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