リフレーミングとは? 意味やメリット、5つの手法を具体例付きで解説
リフレーミングは正しく活用すると多くのメリットが得られる考え方です。
導入効果を最大限に引き出すためには、本記事で紹介するリフレーミングの意味やメリット、手法などを知ることが大切です。正しい知識を身につければ、効果的にリフレーミングを実施できるようになりますよ。
リフレーミングとは? 意味やメリット、5つの手法を具体例付きで解説
目次
- リフレーミングとは? 意味やメリット、5つの手法を具体例付きで解説
- リフレーミングとは?
- コミュニケーション心理学(NLP)の用語
- ポジティブシンキングとの違い
- リフレーミングの4つのメリット
- モチベーションアップにつながる
- 問題解決の選択肢が増える
- 苦手意識が弱まり自分で対応できる
- 自信がつき悩みを克服できる
- リフレーミングの種類と具体例
- 置かれている「状況」のリフレーミング
- 内面に関する「内容」のリフレーミング
- 5つのリフレーミング手法と具体例
- ①言葉のリフレーミング(言い換え)
- ②仮定のリフレーミング(As IF:もし〜)
- ③時間軸のリフレーミング(あのときからすると)
- ④解体のリフレーミング(物事を分解する)
- ⑤Wantのリフレーミング(どうしたいか)
- リフレーミングを実施する4つのポイント
- 理解と共感が必要だと心がける
- トレーニングの習慣をつけ継続する
- リフレーミング辞典や一覧を活用する
- リフレーミング研修を検討する
- まとめ
リフレーミングとは?
10年ほど前から、企業や教育現場などで取り入れられるようになった“リフレーミング”ですが、知らない方は少なくありません。
何となく知っている方も「ただポジティブに考えるだけでしょ」と思っている方もいるかもしれませんね。
まずは、リフレーミングの意味を知っていきましょう。
コミュニケーション心理学(NLP)の用語
リフレーミングとは、コミュニケーション心理学の用語です。
コミュニケーション心理学は、対人関係や自身の行動パターンの改善を図り良好なものにしていくためのものとされています。
リフレーミングは、物事を視点や角度を変えてみることで違う捉え方をする手法です。
例えば、試験時間が残り15分であった場合にどう考えるでしょうか?
「もう15分しかない」と考える方もいますが、中には「あと15分もある」と考える方もいます。
“~しかない”という考えは、どちらかと言うと後ろ向きであり、焦りを感じてミスをしてしまうかもしれません。対して、“~もある”という考えは前向きであり、余裕が生まれてミスを少なくしてくれます。
このように物事に対する視点や角度を変えてみると、心理状態が良い方向へ変わるうえ、よりよい結果をもたらします。
ポジティブシンキングとの違い
リフレーミングを意識すると物事を前向きに捉えることができます。「ポジティブシンキングと似ているな」と思った方もいるかもしれませんね。
しかし、ポジティブシンキングとは異なります。
ポジティブシンキングは、常に前向きに物事を考えますが、そのためにネガティブな感情を抑え込んでしまうことがあります。その結果、現実的な問題解決ができなくなり、思考のバランスが不安定になることが少なくありません。
対してリフレーミングは、自分や相手の感情を受け入れることから始まります。
たとえネガティブな感情でも受け入れるため、ただ前向きに考えるポジティブシンキングとは異なりますね。
リフレーミングも、結果的には前向きに捉えることが可能です。今感じている感情も否定せずに見方や捉え方を変えるため、問題を改善できるうえに、心理状態も安定しますよ。
リフレーミングの4つのメリット
リフレーミングのメリットは、ただ単純に前向きになることだけではありません。業務や対人関係、自身の成長によい効果をもたらすメリットもあります。
リフレーミングの4つのメリットを解説します。
モチベーションアップにつながる
人は、なにか不安なことや問題が発生したとき、どうしても後ろ向きになりがちです。リフレーミングを意識すると、前向きに捉えられてモチベーションアップにつながります。
例えば、「問題を解決すれば成長できる」と考えられると、問題解決に取り組むモチベーションが上がっていくでしょう。
上司の立場から部下を評価する際は、一見短所だと思うところも見方を変えてみてはいかがでしょうか。仕事が遅い部下も見方を変えると「慎重に丁寧に仕事をしているからだ」と気づけるかもしれません。
問題解決の選択肢が増える
難しい問題に向き合っているとき、自分一人で考えていると「解決策は一つしかない」と思い込んでしまうことがあります。
枠にとらわれてしまっていて視野が狭まっている状態ですね。リフレーミングを意識すれば視野が広がり、問題解決の選択肢が広がります。
まずは、“解決策が一つしかない”という枠を取り払う意識が大切です。
「本当にこの方法が正解なのか」や「この立場から考えたらどうか」などの疑問を自分自身に投げかけてみてください。
さまざまな視点で問題を見てみれば、選択肢が他にもあることに気づき、よりよい解決策を生み出すことができますよ。
苦手意識が弱まり自分で対応できる
誰しもそれぞれ苦手なことがあり、苦手なことを避けたくなるものです。しかし、いつまでも避けてはいられません。
リフレーミングで意識を変えてみると苦手意識が弱まり自分で対応できるようになります。
例えば、苦手なことを任されたときは「自分を成長させるチャンス」と捉えたり、「初めから上手にできる人はいない」と考えてみるのです。
そうすると、苦手意識が弱まる気がしませんか?
「苦手」の枠にとらわれずに違った視点で見れば、枠がなくなって前向きに捉えられますよ。
自信がつき悩みを克服できる
誰しもさまざまな悩みやコンプレックスを抱えて生きており、自信がない方も多いです。自信のなさは、時にチャレンジしようとする意欲を削ぎます。
リフレーミングを取り入れることで前向きに捉える癖がつき、だんだんと自信がついていきますよ。
枠にとらわれない考え方ができるため、さまざまな選択肢から悩みの克服が可能です。
初めは小さな効果しか実感できなくても、継続的にリフレーミングを実施すると多くの物事にチャレンジできて自分の成長を感じられます。
リフレーミングの種類と具体例
リフレーミングには、“状況”と“内容”の2つの種類があります。
「前向きに捉える」という終着点は同じですが、使い分けることでより効果的な活用が可能です。具体例をあげて紹介します。
置かれている「状況」のリフレーミング
状況のリフレーミングは、その名のとおり「人や物事が置かれている“状況”を違う視点から見て改善していく」ことを指します。
例えば、猛暑で売上激減した場合、暑さのせいにしてはいつまでも改善されませんね。
“暑さ”が問題であると考え、その問題を解消するために「涼しくなれる商品を開発しよう」と考えられます。
他にも「仕事は丁寧だが、その分時間がかかる部下」がいたとします。
“仕事が丁寧”なところに着目して視点を変えれば「確認漏れが許されない業務や最終チェック業務を任せよう」と考えることが可能です。
状況を改善していくために視点や捉え方を変えると、問題解決につなげられますよ。
内面に関する「内容」のリフレーミング
内容のリフレーミングは、人の性格や悩み、意見の捉え方などの「“内面”に対する考え方を変える」ことです。
例えば、飽きっぽい性格の場合、それだけだと「長続きしない人」とネガティブな印象になりますね。ポジティブに言い換えると「好奇心旺盛」となり、豊富な知識や経験を持っていそうな印象になります。
他にも、プレゼンがうまくいかなかったときに、悪かった点にフォーカスしてしまうと自信がなくなりますね。悪かった点は受け止めたうえで「改善点が分かったから次のプレゼンでは意識しよう」とすると、前向きになり自信も失いません。
捉え方を変えてみれば、ネガティブなことをポジティブに切り替えることができ、新たな可能性に気づけるのです。
5つのリフレーミング手法と具体例
リフレーミングのやり方は5つあり、さまざまな問題やテーマに対して適切な手法を選ぶ必要があります。具体例を交えて紹介します。
①言葉のリフレーミング(言い換え)
言葉のリフレーミングは、ネガティブな言葉をポジティブに言い換えるやり方で、とても単純な手法です。
例えば、騒がしい人は「明るい人」などと言い換えられますね。プライドが高い人は「上昇志向のある人」とも言い換えられます。
就職活動などで、自身の性格や短所をポジティブに言い換える方法をやった経験はありませんか?
言い換えによって異なる視点を得ると、前向きに捉えられるようになります。
②仮定のリフレーミング(As IF:もし〜)
仮定のリフレーミングは、“仮定”して異なる視点から考える手法です。
例えば、商品開発するときに「もし、お客様の立場ならば」と考えると、利用者の立場に立ったよりよい商品ができますね。
問題に行き詰ったときに「もし、部長ならどう対処するか」と考えれば、新たな気付きがあり、打開策を見出せます。
仮定して考えるのは、思考の幅を広げ、新たな発想を生み出すのに有効な手法です。
③時間軸のリフレーミング(あのときからすると)
時間軸のリフレーミングは、過去や未来から“今”を見て考える手法です。
例えば、今やるべきことが分からないときに「10年後どうなっていたいか」と考え、未来から逆算していけば今やるべきことが明確になります。
成長が感じられないときは「過去から考えると、できることが増えた」と考えれば、歩んできた道が見えて成長を実感できますね。
時間軸を変えて今を見るのは、成長やチャンス、課題などの気づきを得て、行き詰まった考えやモヤモヤとした感情をクリアにするのに有効な手法です。
④解体のリフレーミング(物事を分解する)
解体のリフレーミングは、1つの物事を分解して整理する手法です。
例えば、タスクが多すぎる場合は、焦りを感じて頭の中も混乱するため、やる気を失いやすいですね。「やらなければならないことは?」「期限はいつまで?」「優先順位は?」と物事を細かく分解していきます。
そうすると頭の中も整理されて“やるべきこと”が明確になるため、着実に終わらせることができますよ。物事を分解するのは、考えをクリアにするのに有効な手法です。
⑤Wantのリフレーミング(どうしたいか)
Wantのリフレーミングは、自分自身に「どうしたい?」と質問を投げかけて解決策を見出す手法です。
例えば、仕事が辛いと感じている時に「辛いならどうしたい?」と自身に問いかけてみます。
その結果「転職したい」と答えが出たならば、さらに「そのためにはどうする?」と続けて問いかけるのです。
気持ちや感情が整理されて現状を打開する解決策を見出せますよ。問いかけることで自身の考えや気持ちと対話をするため、答えを導くのに有効な手法です。
リフレーミングを実施する4つのポイント
リフレーミングの効果を得るためには、ポイントをおさえて実施するのが大切です。
全部で4つのポイントがあるため、それぞれご紹介します。
理解と共感が必要だと心がける
リフレーミングを自身に実施する場合は、自分自身の感情や考えと向き合うため、理解と共感はしやすいですね。しかし、他人の感情や考えは100%理解するのが難しく、共感できずに否定してしまうこともあります。
他人にリフレーミングを実施する場合は、理解と共感が必要だと心がけることが大切です。
相手のネガティブな気持ちを抑えつけて、ただただポジティブな言葉をかけても相手には響きません。ネガティブな気持ちも受け止めたうえで、ポジティブに言い換えてあげることで初めて相手に気づきを与えられます。
また、自分の言葉が相手にどのような影響を与えるかも考えることも大切です。
無責任な言葉や否定の言葉は、相手の心を閉ざしてしまい、リフレーミングの効果を得られません。他人に実施する場合は、理解と共感に特に注意しましょう。
トレーニングの習慣をつけ継続する
リフレーミングはすぐに身につくものではありません。意識してトレーニングする必要があります。初めは簡単な言葉の言い換えをしたり、自身に行なったりして段々と身につけていきます。
また、習慣化して継続するのも大切です。前向きに考えるのが癖になり、自然とリフレーミングの言葉が出てくるようになりますよ。
一朝一夕にはいきませんが、身につけると大きな武器となるため、意識して実践し継続していきましょう。
リフレーミング辞典や一覧を活用する
リフレーミングをしてみようと思っても、初めは「前向きな言葉が思いつかない」と悩む方は少なくありません。
インターネットを使えば、リフレーミングの言葉を一覧で見ることができます。また、ポジティブな言葉を集めた辞典などもよいですね。
辞典や一覧を活用すれば、たとえ初心者であっても気軽にリフレーミングを実施できます。特に自分に当てはまる言葉や気に入った言葉は、手帳やノートなどに書き留めておいて活用するのもおすすめです。
リフレーミング研修を検討する
リフレーミング研修では、前向きな言葉を知ることはもちろん、「さまざまな角度から物事を見ること」や「自身の枠をなくす考え方」などが身につきます。
独学では難しく感じた点も研修によって理解しやすくなりますよ。
社内全体でリフレーミングを実施していきたい場合にも研修は有効です。聴講者全員に同じ意識を持たせられるため、研修効果を最大化できます。
まとめ
リフレーミングは、ネガティブな気持ちも受け止めたうえでポジティブに言葉や考えを変えていく心理学の用語です。リフレーミングは、ポイントをおさえて実施すれば多くのメリットを得られます。
社内全体にリフレーミングの意識を持たせたい場合には研修を行ない、知識や技術を身につけてもらうのがおすすめです。
正しい知識と技術でリフレーミングを実施すれば、効果を最大限得られ、社内の雰囲気もよくなりますよ。
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