Vol1.なぜ、企業ではChatGPTではなくCopilotが利用されるのか?【小田純也講師特別コラム】
なぜ、企業ではChatGPTではなくCopilotが利用されるのか?

なぜ、企業ではChatGPTではなくCopilotが利用されるのか?【小田純也講師特別コラム】
執筆講師

株式会社シンプルブランド 代表取締役
ChatGPTではなくCopilot?~企業の現場で起きている選択~
生成AIの代表的なサービスとして、多くの人が最初に思い浮かべるのはChatGPTかもしれません。文章作成、要約、アイデア出し、翻訳、壁打ちなど、非常に幅広い用途で使える便利なAIです。
一方で、企業の現場では「ChatGPTではなく、Microsoft Copilotを導入する」という判断が増えています。
これは、ChatGPTの性能が低いからではありません。
むしろChatGPTは、個人利用や専門的なリサーチ、企画の壁打ちなどにおいて非常に優れたAIです。
では、なぜ企業ではCopilotが選ばれやすいのでしょうか。
理由は大きく分けて、「業務環境との相性」「管理のしやすさ」「情報セキュリティ」「社員が使い始めやすいこと」の4つです。

理由1:すでに使っている業務ツールの中で使える

多くの企業では、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、Teamsなど、Microsoft 365のツールが日常業務の中心になっています。Copilotは、こうした普段使っているアプリの中でAIを活用できる点が大きな特徴です。
・Wordで文書のたたき台を作る
・Excelで表の内容を整理する
・PowerPointで資料構成を考える
・Outlookでメール文面を整える
・Teams会議の内容を要約する
こうした作業を、別のAIツールに移動せず、業務の流れの中で行いやすくなります。
「新しいツールを覚える」というハードルを下げられる
AIに詳しくない社員にとって、「新しいツールを覚える」ことは大きなハードルです。
しかし、普段使っている画面の中にAI機能が入っていれば、導入時の心理的な抵抗は下がります。企業にとっては、これは非常に大きなメリットです。

理由2:社内データと連携しやすい

Copilotの大きな強みは、Microsoft 365上にある社内データと連携しやすいことです。
たとえば、Teamsの会議、Outlookのメール、OneDriveやSharePoint上の文書など、日々の業務データをもとに、より文脈に合った回答を得やすくなります。
社内の権限管理と連動しながらAIを使える
もちろん、すべての情報を自由に見られるわけではありません。
基本的には、その社員がアクセス権限を持っている情報の範囲で活用されます。
つまり、社内の権限管理と連動しながらAIを使える点が、企業利用において重要なポイントになります。
一般的なAIチャットの場合:
ユーザーが必要な情報を自分でコピーして貼り付ける場面が多くなります。しかし、企業でこれを行うと、機密情報や個人情報の扱いが問題になります。
Copilotの場合:
Microsoft 365の業務基盤とつながっているため、こうした業務文脈を前提に設計されている点が企業にとって扱いやすいのです。

理由3:情報セキュリティと管理の説明がしやすい

企業がAIを導入する際、最も気にするのは「便利かどうか」だけではありません。
むしろ、経営層や情報システム部門にとっては、次のような点が重要になります。
「情報漏洩のリスクはないか」
「社員が勝手に機密情報を入力しないか」
「利用状況を管理できるか」
CopilotはMicrosoft 365の管理・セキュリティの仕組みの中で運用しやすいため、企業として説明しやすいという利点があります。
すでにMicrosoft 365を導入している企業であれば、既存のアカウント管理や権限管理の延長線上でAI活用を検討できます。
「ChatGPTは企業利用に向かない」は正確ではない
ここで注意したいのは、「ChatGPTは企業利用に向かない」と決めつけるのは正確ではないということです。
ChatGPTにも法人向けプランがあり、組織データをAIモデルの学習に使わない設計や、管理機能が用意されています。
したがって、問題は単純な安全性の優劣ではありません。
実際の選定での判断基準
・自社の業務システムとどちらが自然につながるか
・情報システム部門が管理しやすいか
・社員に展開しやすいか

理由4:全社員に展開しやすい

企業でAIを活用する場合、一部の詳しい人だけが使えても大きな効果は出にくいです。
営業、総務、人事、経理、企画、管理職など、さまざまな部署の人が日常業務の中で使える状態にする必要があります。
その点でCopilotは、Microsoft 365を日常的に使っている企業と相性が良いです。メール、会議、資料作成、議事録、社内文書の要約など、多くの社員に共通する業務から始めやすいからです。
「高度な使い方」ではなく「小さな業務」から始める
AI活用で失敗しやすい企業は、「高度な使い方」から始めようとします。
しかし、最初に取り組むべきなのは、毎日発生している小さな業務を少しずつ短縮することです。
・メール作成を5分短縮する
・会議後の議事録作成を楽にする
・資料の構成案を早く作る
こうした積み重ねが、企業全体の生産性向上につながります。

結論:Copilotは“企業の業務導線”に乗せやすいAI
ChatGPTは、自由度が高く、個人の思考整理や企画作成、文章作成に非常に強いAIです。
一方でCopilotは、Microsoft 365を使っている企業にとって、日常業務の流れに組み込みやすいAIです。
つまり、企業でCopilotが選ばれる理由は、「ChatGPTより優れているから」という単純な話ではありません。
既存の業務ツール、社内データ、権限管理、セキュリティ、社員への展開のしやすさを考えたときに、Copilotの方が導入しやすい企業が多いということです。
AI導入で大切なのは、最新ツールを入れることではありません。社員が安心して使え、現場の仕事が本当に楽になる形で定着させることです。
また、楽になった分、本来、当てるべき「顧客としっかり話す時間」や「働いている人の負担を減らすこと」に時間を使うべきではないでしょうか。
その意味で、Microsoft 365を日常的に使っている企業にとって、Copilotは非常に現実的な選択肢だと言えるでしょう。

執筆講師

株式会社シンプルブランド 代表取締役
生成AI研修講師/事業戦略アドバイザー。
小田純也
株式会社シンプルブランド 代表取締役/生成AI研修講師/事業戦略アドバイザー
ChatGPT、Copilot、Gemini、NotebookLMなど主要の生成AIを使って、実務で使える形に落とし込む研修を得意とし、これまで30業種以上の企業・士業・経営者を支援。単なるAIのツール解説に留まらず、「業務効率化」「売上向上」「人材不足対策」など現場課題に直結するAI活用設計を行う点が特徴。講演・研修では、生成AI初心者でも理解できる分かりやすさと翌日から使える再現性の高さに定評があり、プライム上場企業から中小企業、公益社団法人、商工会議所、法人会、各業界団体など登壇実績が多数。



