Vol.2 顧客体験の中心にあるものとは?【今井千尋講師特別コラム】

日本の2大テーマパークから学ぶ!最高の顧客体験を実現する人材育成とは
目次
日本トップのテーマパークから学ぶ!最高の顧客体験を実現するヒント
~Vol.2 顧客体験の中心にあるものとは?~

顧客体験の中心にあるものとは?【今井千尋講師特別コラム】
執筆講師

ビジネス心理コンサルティング株式会社 主席コンサルタント
皆さん、ようこそ!
ワンダーイマジニア今井千尋(いまいちひろ)です。
“テーマパ―ク人材育成メソッド”の学びを深める第2回の開催です。
皆様の企業現場に“ワクワクする価値を創り出す!」ヒントを提供していきます。
こちらのコラムを通して、皆様の企業において“テーマパーク流人材育成メソッド”によって人が成長し、さらに輝くきっかけ作りの機会が生まれれば、とてもワクワクしますし、嬉しいです。
今回、第2回のテーマは、”顧客体験の中心にあるものとは?”をお伝えしていきます。
「最高の顧客体験を実現するために。顧客満足と顧客感動を考える」にて書き上げましたので、ここから皆さんの現場にて使えるヒントをたくさん見つけ出してください。
皆さまの現場社員さん、スタッフの皆さんと共に是非とも、この記事を読み込み、テーマについて現場にてお互いに深掘りをして頂き、自社に活かして頂けましたら嬉しいです!
では、早速中身に入っていきましょう!
●ホスピタリティの階段
まずは、“ホスピタリティの階段”という考え方をお伝えします。
サービスというのは、お客様にとっては“当たり前にしてもらえる”と期待していることであり、対価に対する基準なので、その当たり前がなっていないと“お金を払っても損した気分”になります。
そして、おもてなし(ホスピタリティ)は“おもてなしの精神”なので、「もっと喜んでもらおう」「もっと悩ましいことはないかな?」と相手の立場に立って、自ら率先して行動や言葉に表すことを“おもてなし(ホスピタリティ)”であり、それをいち早く解決して喜んでもらおう!という心からの想いを行動や言葉に表すことばであり、意味だということを、第1回にてお伝えしました。
そのサービスとおもてなし(ホスピタリティ)ですが、「階段」をイメージしていただくともっとわかりやすくなると思います。下段がサービス、次の段がおもてなし(ホスピタリティ)です。
(注:ここからは、サービスとおもてなしが区別しやすいよう、おもてなしをホスピタリティのみの表記とさせていただきます。)
サービスという状態を完全に表現できて、初めて次の段に上ることができる。下段が上段を支えているので、サービスが不足、劣化していたら、次の段へは上れないという理屈です。
もう少し丁寧に説明するとサービスという当たり前に私たちが提供するレベル(このレベルを下回ると、頂いている金額に対するサービスが提供できていない、劣化しているという状態)がしっかりと提供できており、その上でサービス提供側が、もっとお客様視点やニーズに寄り添う積極的なお客様主体のサービスを提供していくというのが、ホスピタリティの段階です。
テーマパークの事例で説明してみましょう。アトラクション利用の合間にファーストフード店舗にランチでいらっしゃったゲストに対して、私たちスタッフ側が想像力を働かせます。
例えば、、、「一秒でも早く提供できたら、パークでさらに時間を有効に使い、喜んでもらえるかもしれない。
つまり、ファーストフードを利用される方の中には、手軽に時間をかけずに食べたいというニーズ、時間を短縮できたことによって、多くのアトラクションや、ショー、お土産もの選びなどの体験をすることができる!という発想のもと、迅速且つ、適切にこちら側から提供する“サービス”が、“ホスピタリティ”なのです。
その前提には、正しい商品を最低限の適切なサービスで正しく出すという“土台となる基本的なサービス”があります。これは、やはりとても大事ですよね。スタッフが呼んでも来ない状態にもかかわらず、相手の立場に立って、喜んでもらおうと行動しようとしても、そもそも、テーマパークとしてゲストにこれは、必ず体験してもらわなければ、対価に対する価値提供が損なわれてしまうという土台のサービスがない状態なので、ゲストの立場からすると、ホスピタリティよりも「その前にやることがあるだろう!!(怒)」という感情が、当然のようにゲストの心の中に湧いてしまいます。
つまり、ホスピタリティの前に、きちんと“やるべき必要最低限の土台になるサービス”を安定的に提供しましょう、ということが大前提なのです。
私がコンサルティングなどで入らせて頂く企業現場の中には、この基礎的なサービスが標準化できていないのにも関わらず、高度なお客様に対する応用編といっても良い動きをしなければ!意識している現場が数多くありました。
皆さんの現場はどうでしょうか。
あくまでも、階段をイメージしてもらうとわかりやすいですが、一つ上の段に行くためには、今の段をしっかりと登れないと(提供すべき価値を安定的に発揮しないと)次の段にはいけないのです。
●マジカル=顧客体験を通して、ファン作りを目指そう!
第1回で触れた“マジカル”は、ホスピタリティの更に上の段階になります。サービス、ホスピタリティがしっかりと再現された前提で、発揮されるものです。
この段階にいるトップレベルの人は、“ファンを増やす”ということができています。こうした最高の顧客体験によりファン作りの機会を創り出すことを“マジカル=顧客がワクワクする私たちスタッフが仕掛ける遊び心”と呼びます。マジカルは言い換えれば、“その人らしい、相手に対するおもてなし対応”とも言えるでしょう。
このマジカルのあるトップレベルの人は、ちゃんとその場の基準に相応しい提供スピード、ゲストが求める必要最低限の“少し上のレベル”を意識し、ワクワクするサービスを考えています。お客様を観察し、“目配り”“気配り”“心配り”からの気づきを土台に、マジカル=顧客がワクワクする私たちスタッフが仕掛ける遊び心(お客様が思わず笑顔になり、印象深い思い出になる出来事の提供)につなげることが上手なのです。
マジカルは、笑わせることではなく、お客様にとって、ちょっとしたワクワク、ドキドキする嬉しいことや楽しいこと、感動するなどの“プラスの印象に残ること”を相手の立場で発見できる能力です。
これをして差し上げたらもっと喜んでもらえるなということや思わずお客様が笑顔になるだろうなということ、ご自宅に帰って家族や友人に話したくなる“プラスな印象の顧客体験”を常に相手を観察し、研究し、再現するための知識と技術を研ぎ澄ませているのです。
では、そのマジカルを身につけて最高の顧客体験を実現し、ファンを作るためにはどうしたらよいのか。最高の顧客体験を実現する為に必要な“ファン作りの機会を創り出すこと“についてさらに深掘りしていきましょう!

●顧客満足とはなにか?
まずは、ファン作りをする上で、欠かせない学びポイントは、顧客満足と顧客感動の違いについてです。
顧客満足は、CS(カスタマーサティスファクション)と言います。世界中の企業が顧客満足の指標を作り、顧客満足“度”を 100%に近づけようと努力をしています。企業がお客様に対して製品やサービスを提供することによって、その顧客のニーズや要求がどれくらい満たされるのか数値化し、どれくらい要望を満たしたかでその質を判断します。
この顧客満足という言葉ですが、昔と今とでは、“意味”が少し違ってきているように感じています。50代より上の世代と最近の若い世代が使う意味、その時代の状況が全然違います。
昔は“企業主導型”といい、自分たちの技術で、商品やサービスの少ないラインナップから、大量生産して、顧客満足度を上げていた状態です。昔テレビの視聴率がとても高かったということを知っている人も多いのではないでしょうか?この前提には、商品やサービスの利用経験において、“他”をまだ体験したことがない状態です。お客様自身の情報、体験の乏しいということです。つまりテレビのゴールデンタイムは「8時だよ、全員集合」だけを日本中の人が見ていた時代です。
今は“顧客主導型”といい、お客様のニーズが多種多様になり、そこにあわせた商品、サービスラインナップを企業が試行錯誤しながら提供していくことが大事な時代です。顧客生活が豊かになり、多くの情報を手に入れ、利用経験も多くあるということが、背景にあります。インターネットを開けば、情報がたくさん溢れており、顧客はたくさんある情報の中で、興味ある好きなものだけを取得している状況です。
皆さんもYouTubeなどで、好きな動画だけを選んで視聴していますよね。動画が溢れているのに、顧客は自分が見たいものだけをみるんです。一人ひとり、好きなものが違うので、番組も多種多様なニーズに合わせて制作側も意識して作ります。
昔は、知らないから、情報の取得が難しいから、体験ができないから、限られた条件の中で体験したいからという動機で購入していましたが、今は“欲しいもの=好きなもの”だから購入する。なので、顧客がどうしてもこの店、場所でなければ嫌だとか、そこに行って初めて体験することができる、唯一無二という状況です。
ですから、今の時代のファン作りは、“それじゃなきゃ嫌だ!”“そこの〇〇だから好き!”というお客様をたくさん増やしていくということなんです。まさに、私が働いていたディズニーリゾートやユニバーサルスタジオジャパンという存在は、そうした意味ではとても顧客から選ばれ続ける要素がたくさんあります。
ディズニーしか、ユニバーサルスタジオジャパンでしか体験できないことを意識して顧客に対し発信していますし、提供しているからこそ、価格競争にも巻き込まれず、自社独自のサービスを顧客が受け入れて、リピートして頂けるファンになってくださってているのです。
●顧客から個客へ
最近、顧客体験はどんな時代に入ってきたのかというと、“カスタマーからパーソナル”の時代になっています。お客様の趣味趣向に合わせて、カスタマイズし、アジャストし、接客もちょっとずつ変化を加えながら、「顧客に幸せになってもらう」「楽しんでもらう」「喜んでもらおう」と、目指すのが“パーソナライズ”の考え方であり、やり方です。
10名の団体様という接客ではなくて、10名様の内の一人は、〇〇様。〇〇様は、言葉はゆっくりはっきりと、足元を気をつけながらご案内するなど一人ひとりに対して、どのように接客をしていくのかをプランし、その人にあったものを提供する。
例えばハンバーガーファストフード店舗にて、ハンバーガーのピクルスを抜いてほしいとか、ハンバーガーソースを足してほしいとか、ソースもケチャップではなくチリソースなどのソースで足して欲しいなど、“個客ごと”の対応をしなければならないということです。“個客”は、自分の嗜好に合ったニーズの商品・サービス体験を買うんです。この体験価値のことをCX=Costomer Experience 顧客体験感動価値と呼びます。
この個客満足の捉え方が変わった延長上に、今は“個客感動”を顧客の体験の中に創り出すことを狙っていかないと生き残れない時代に入ってきました。
では、個客感動体験をどのように生み出したらよいのか、考えていきましょう!

●顧客感動とは?
「個客満足と個客感動の違い」をまずは、お伝えします。
“満足”とは、満たされること、満ち足りるということです。これは頭で理解するという特徴があります。
一方“感動”とは、体験を通して「印象に残ること」が大事です。「心で感じる事」を指します。例を出すと、お腹がすいたので、いっぱい食べて「あぁ、満足!」。スマートフォンが壊れたので、新しいものを買った。「あぁ、満足!」これは満足です。
辛い商品を食べているお客様が、めちゃくちゃ汗をかきながら食べていたので、お客様に言われる前に、こちらからお水をお持ちした。この後に何が起こるのかというと、個客行動が「ありがとう!」とお客様の一言に変わります。このお客様は、辛いから水を飲むペースが速いので、言われる前に水を注いだ。よくあるのが、お水を欲しそうだから、お水をもっていきますよね。そして、「ありがとう!」と言われるのですが、2杯目以降にお客様から「すいません、お水ください」と言われてしまうことが、よくあるんです。
それ、もったいない、めちゃくちゃもったいないんです!
「ちょっと飲むの早いよね、、、」と気づきわかった段階で、こちら側から察して、お客様から言われる前に注ぐ。そうするとお客様から「このお店、スタッフの〇〇さんってよく気づいてくれるよね」と気が利く存在として「ありがとう」という評価がさらに増えますよね。丁寧だなという印象が増え、そのような体験を従業員である私たちスタッフ側も触れると、笑顔と自信が増えることになります。
“言われる前”に動く為には “個客の観察の中から”こうしたら喜んでくれるだろうと考えていることが重要で、常に、相手を観察し相手の立場であったら、どうしてほしいのかという想像を掻き立て、「自分だったら、こうされたらより嬉しい!」と想像してみる。。
それがマニュアルを超える体験価値=“感動”に繋がります。
個客の体験を通して“印象に残すこと”=“感動してもらうこと”ということなのです。今後、お客様に1mmでも感動を体験を通して提供して欲しい、つまり体験を通したそのお客様の“印象に残ること”を私たち従業員側から積極的に生み出して欲しいんです。それは商品作り、サービス、お店の清掃など、日常業務の中にできることはたくさんあります。
接客でもそうです。お客様の“印象に残ること”が、いかに大事なのかをわかっていて欲しいのです。
是非とも皆さんの現場でもたくさんの顧客感動を生み出すきっかけとなること、ファンづくりにつながる最高の顧客体験を創造し、提供してください。
期待しています!!!
執筆講師

ビジネス心理コンサルティング株式会社 主席コンサルタント
今井千尋
神奈川県出身。専門は ホスピタリティサービス ・ リーダーシップ・チームビルディング・コミュニケーション・テーマパーク流人材育成・テーマパーク流人材開発 。 株式会社ワンダーイマジニア 代表取締役
東京ディズニーリゾート、ユニバーサルスタジオジャパン元人材育成トレーナー/人事・人材育成担当。日本の人事部主催”HRアワード”入賞作品「Disney&USJで学んだ現場を強くするリーダーの原理原則内外出版」など著書多数。テーマパーク流人材育成・人材開発メソッドを基に執筆、講演、研修、人材開発コンサルティング(人材育成、人材開発の仕組みづくり)などを全国クライアント企業にて実施。全国にファンも多く、日々、現場の活性化の為に飛び回っている。




