ウェルビーイング(well-being)経営とは?PERMAモデル5要素・メリット・企業事例をわかりやすく解説
「離職率が高い」「従業員のモチベーションが上がらない」
この悩みを抱える企業の解決策として、いま注目されているのが「ウェルビーイング経営」です。
ウェルビーイング経営とは、従業員の身体・精神・社会的なすべての面で「良い状態」を実現する経営手法。単なる健康管理にとどまらず、働きがいや幸福感まで含めた総合的なアプローチが特徴です。
本記事では、ウェルビーイング経営の定義・背景・メリット・デメリット、実践の指針となるPERMAモデルの5要素、そして国内大手企業の具体的な取り組み事例をまとめて解説します。自社への導入を検討している担当者の方はぜひ参考にしてください。
一人ひとりの生活や個性を重視する時代を迎えているいま、企業は従業員の心理的安全性やワークライフバランスの確保に尽力することが求められています。
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ウェルビーイング(well-being)経営とは?PERMAモデル5要素・メリット・企業事例
目次
ウェルビーイング(Well-being)経営とは?
ウェルビーイング経営とは、従業員が身体的・精神的・社会的に満たされた状態で働ける職場環境を実現する経営手法です。従業員の健康だけでなく、仕事のやりがいや幸福感にまで焦点を当てています。
ウェルビーイングの定義や厚生労働省の取り組み、注目されるようになった背景を解説します。
ウェルビーイングの定義
ウェルビーイングとは、身体的・精神的・社会的に満たされた状態を指します。WHO(世界保健機関)憲章では、健康を「単に病気がない状態ではなく、肉体的にも精神的にも社会的にも満たされた状態」と定義しています。この概念がウェルビーイングの基礎です。
具体的には以下の3つの側面を指します。
・身体面では病気がなく健康である
・精神面では心が安定している
・社会面では良好な人間関係がある
ウェルビーイング経営では、従業員がこの3つの側面すべてを満たせる環境づくりを目指します。
参考:公益社団法人日本WHO協会「健康の定義 | 公益社団法人日本WHO協会」
厚生労働省の取り組み
2040年に向けて、日本は少子高齢化により働き手の確保が難しくなると予測されています。厚生労働省は2019年に雇用政策研究会の報告をまとめ、対応策を示しました。
報告では、ウェルビーイングについて「個人が権利を守られ、心身と社会性の面で健やかな状態」と説明しています。重要視されたのは、働く人の幸福度が高まると、会社の業績にもよい影響をもたらす相互関係です。
柔軟な勤務形態の導入や労働環境の整備を通じて、企業によるウェルビーイング経営の実践を支援しています。
参考:厚生労働省「人口減少・社会構造の変化の中で、ウェル・ビーイングの向上と生産性向上の好循環」
ウェルビーイング経営が広がった時期と背景
ウェルビーイング経営が日本で本格的に広がりはじめたのは2021年です。ウェルビーイング経営への注目はコロナ以前から存在していましたが、コロナ禍でさらに加速したと言えます。
2021年は「ウェルビーイング元年」と呼ばれ、政府の経済財政方針でウェルビーイングに関する目標設定が明記されました。民間では日本経済新聞社が「日本版Well-being Initiative」を創設し、注目度が高まります。
ウェルビーイング経営が広がった背景には、主に3つの要因があります。
第1に少子高齢化による労働人口の減少です。企業は人材確保のため魅力的な職場づくりが必要になりました。第2は、国を挙げた働き方改革の推進です。第3の要因は、SDGsへの意識の高まりで、企業にも社会的責任が求められるようになったためです。こうした社会変化が、企業にウェルビーイング経営の導入を促しています。
参考:ウェルビーイング学会「○220912Well-Being_report」
参考:株式会社日本経済新聞社「Well-being Initiative [GDW]」
ウェルビーイング経営のメリット
ウェルビーイング経営には企業に多くのメリットをもたらします。
具体的なメリットは主に以下4つのとおりです。
・生産性の向上
・採用力の向上
・離職率の低下
・企業イメージの向上
それぞれのメリットを詳しくお伝えします。
生産性の向上
ウェルビーイング経営は従業員の生産性向上につながります。働きやすい環境が整うと従業員のストレスが軽減され、仕事へのモチベーションが高まるためです。
たとえば職場の人間関係が良好で、長時間労働が是正されれば、従業員は心身ともに健康な状態で業務に取り組めるでしょう。結果、一人ひとりが本来の能力を発揮でき、企業全体の生産性アップにつながります。
採用力の向上
ウェルビーイング経営は採用力の向上にもつながります。労働人口の減少により人材確保が難しくなる中、給与や待遇だけでは他社との差別化は困難です。
しかしウェルビーイング経営に取り組む企業は、従業員の幸福を重視する姿勢が求職者へのアピールポイントになります。たとえばテレワーク制度やフレックスタイム制、育児との両立支援など多様な働き方を実現している企業は従業員や求職者から魅力的に映るでしょう。
離職率の低下
ウェルビーイング経営は従業員の定着率を高める効果も期待できます。退職する主な理由は給与面よりも、職場の人間関係や労働時間・労働環境への不満が多いためです。ウェルビーイング経営は、人間関係や労働環境の改善にも取り組みます。
たとえば上司や同僚との良好な関係づくりや、長時間労働の是正、ワークライフバランスの推進などです。従業員が働きやすく、やりがいを感じられる環境が整えば、離職率低下が期待できるでしょう。
企業イメージの向上
ウェルビーイング経営への取り組みは企業価値の向上に役立ちます。従業員の幸福を重視する姿勢は、社会的責任を果たす企業として評価されるためです。たとえばSDGsへの貢献やESG投資の観点から、投資家や取引先からの信頼が高まるでしょう。
またウェルビーイング経営を推進する企業として対外的に発信すれば、企業ブランドのイメージアップが期待できます。優良企業としての評価が定着すれば、事業拡大の機会も広がる可能性があります。
ウェルビーイング経営のデメリット
ウェルビーイング経営には多くのメリットがある一方で、導入時に注意すべきデメリットも存在します。主なデメリットは以下の3つです。
・成果が見えにくい
・短期的に利益低下のリスク
・運用コストの負担
詳しくお伝えします。
成果が見えにくい
ウェルビーイング経営の効果を数値で測定するのは困難です。従業員の幸福度やモチベーション、職場の人間関係は売上や利益のように明確な数字で表せないためです。
たとえば従業員満足度調査を実施しても、回答が主観的なため客観的な評価が難しいでしょう。また施策を導入してから効果が現れるまでに時間がかかるため、短期間で成果を判断できません。
経営層や株主に対して取り組みの価値を説明する際、具体的な成果を示しにくい点はウェルビーイング経営の課題の一つといえるでしょう。
利益低下のリスク
短期的には利益が低下するリスクがあります。ウェルビーイング経営を実現するには、従業員の環境整備に相応の投資が必要になるためです。たとえばテレワーク環境の整備や福利厚生の拡充、柔軟な働き方を支える人事制度の構築などにはコストがかかります。
また労働時間の短縮を進めれば、一時的に生産量が減少する可能性もあるでしょう。ウェルビーイング経営のための投資がすぐに売上や利益につながるとは限りません。中長期的な視点で取り組む必要があるでしょう。
運用コストの負担
継続的な運用コストの負担も課題の一つです。ウェルビーイング経営は一度導入して終わりではなく、継続的な取り組みが求められるためです。たとえば従業員の健康管理やメンタルヘルスケアのために産業医や専門カウンセラーを配置すれば、人件費が発生します。
また定期的なストレスチェックや従業員満足度調査の実施、研修プログラムの開発にも費用がかかるでしょう。さらに制度を運用する人事部門の業務負担も増加します。限られた予算の中で、どこまで投資するか見極めが重要です。
ウェルビーイングの5つの要素
ウェルビーイング経営を実践する際、何に取り組めばよいかを示した指標があります。それが心理学者マーティン・セリグマンが提唱した「PERMAモデル」です。
PERMAモデルは、人が充実した生活を送るために必要な5つの要素を示したものです。企業が5つの要素を高める施策に取り組むことが、従業員のウェルビーイング向上につながります。
PERMAモデルの5つの要素は以下の通りです。
1.ポジティブ感情(Positive Emotion)
2.エンゲージメント(Engagement)
3.人間関係(Relationship)
4.意味・意義(Meaning)
5.達成(Achievement)
それぞれの要素を詳しくお伝えします。
ポジティブ感情(Positive Emotion)
ポジティブ感情とは、喜びや感謝、希望など前向きな感情をもつことです。仕事において楽しさややりがいを感じられる状態を指します。
企業では、従業員の貢献を認める表彰制度や感謝を伝え合う文化づくり、職場環境の改善などが有効な施策となるでしょう。また柔軟な働き方を導入すれば、従業員が自分らしく働けるようになり、ポジティブな感情が生まれやすくなります。
エンゲージメント(Engagement)
エンゲージメントとは、仕事に熱中し没頭している状態を指します。時間を忘れて集中できる状態は、従業員が自分の能力を発揮でき、高いパフォーマンスにつながります。
企業は従業員のエンゲージメントを高めるために、個人の強みや興味に合った業務の割り当てが必要です。また適切な難易度の目標設定や、自律性をもって働ける環境づくりも効果的です。
成長の機会を提供し、従業員がスキルアップを実感できる仕組みを整えれば、仕事へのエンゲージメントが高まるでしょう。
人間関係(Relationship)
人間関係とは、職場における同僚や上司との信頼関係や良好なつながりを指します。他者との絆があると安心して働ける環境が生まれ、困ったときには助け合える関係性を築けます。
定期的に上司と部下が対話する1on1ミーティングやチームビルディング研修、メンター制度の導入などが効果を発揮します。リモートワークが増えた現在では、交流機会を意図的に設ける施策が重要です。
意味・意義(Meaning)
自分の仕事が社会や他者の役に立っていると実感できることが、意味・意義です。単に業務をこなすだけでなく、その仕事がどのような価値を生み出しているかを理解できると、働く目的が明確になります。
そのためには、経営理念やビジョンを従業員に浸透させる取り組みや、顧客からの感謝を共有する仕組みづくりが必要です。また自分の業務が最終的にどう社会貢献につながるかを可視化すると、従業員は仕事に意義を見出しやすくなります。
達成(Achievement)
目標を達成し、成果を実感できる経験は、従業員のモチベーション向上に直結します。達成感を得ると自己効力感が高まり、次の挑戦への意欲が生まれます。
明確で適切な目標設定を行い、達成までのステップを可視化する仕組みや、小さな成功体験を積み重ねられる環境が求められます。
表彰制度や評価制度を通じて成果を認めるのも効果的です。目標達成のプロセスを振り返る機会を設けると、従業員は自分の成長を実感できるでしょう。
ウェルビーイング経営3つの事例
ウェルビーイング経営を実施している3つの導入事例をお伝えします。ぜひ、参考にしてください。
事例1:楽天グループ株式会社
楽天グループ株式会社は「Well-being First」を掲げ、従業員のウェルビーイング向上に取り組んでいます。従業員一人ひとりの幸せが企業の成功に欠かせないとの考えから、CWO(Chief Well-being Officer)を設置し、全社的な推進体制を構築しました。
具体的には「ウェルビーイングサーベイ」を定期的におこない、従業員の運動不足・睡眠の質・体重管理の3大課題を改善することに注力しています。取り組み例として、社内ウォークラリーやヨガ、ストレッチなど従業員参加型プログラムがあります。
また本社には社内クリニックやフィットネスジム・スパを設置し、心身の健康をサポートする環境を整備しました。
参考:RakutenOPTIMISM2023「楽天のウェルビーイングの取り組み – フューチャーフェスティバル」
事例2:株式会社丸井グループ
株式会社丸井グループは、健康経営推進の最高責任者としてCHOを配置し、ウェルビーイング経営を展開しています。従業員の健康維持だけに留まらず、より活力を持って働ける環境づくりに注力している点が特徴です。
自主参加型の「Well-being推進プロジェクト」を設置し、小論文で選ばれたメンバーが1年ごとに交代しながら活動を推進する仕組みを導入しました。
また管理職向けには「レジリエンスプログラム」を用意し、管理層自らがチームの活力向上に取り組む姿勢を育成しています。こうした施策により、社員の6割超が健康増進活動に関わるようになり、企業文化として根付いてきました。
参考:株式会社丸井グループ「丸井グループの健康経営|サステナビリティ」
事例3:株式会社デンソー
株式会社デンソーは2016年9月に「健康宣言」を発表し、従業員の健康増進を経営課題の一つと位置づけています。職場単位で年間計画「健康アクションプラン」を計画し、従業員の健康意識向上に取り組んでいます。
さらに2013年度からストレスチェック「こころの健康チェック」を導入し、受検率は97%以上を維持しています。評価には独自の「健康スコア」を開発し、取締役会や経営審議会で報告する仕組みを整えました。
こうした取り組みが評価され、健康経営優良法人ホワイト500を9年連続で取得しています。
参考:株式会社デンソー「社員とともに進める健康づくり | 社会への取り組み | サステナビリティ」
ウェルビーイング経営の成功には専門家の知見が不可欠
ウェルビーイング経営は、従業員の心身の健康と企業の生産性向上を両立させる経営手法です。
ウェルビーイング経営を成功させるには、経営層から従業員まで組織全体で理解を深め、継続的に取り組む必要があります。しかしはじめて導入する企業では、何からはじめればよいかわからない課題もあるでしょう。
ウェルビーイング経営の導入を成功させるには、専門家による講演や研修の活用が効果的です。従業員の意識改革や具体的な取り組み方法について、実践的な知識を得られます。
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