LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?CFPとの違い・4段階の手順・企業事例を解説
LCA(ライフサイクルアセスメント)とは、製品やサービスが原材料の調達から製造・流通・使用・廃棄に至るまでの全過程で環境に与える影響を数値化し、評価する手法です。国際規格ISO14040として定められており、カーボンニュートラルやSDGsへの対応が求められる今、多くの企業が導入を進めています。
「LCAとCFPはどう違うの?」
「Scope3とは何が違うのか?」
「実際にどう進めればいいのか?」
こうした疑問を持つ方に向けて、本記事では環境省が示すLCAの考え方を基礎に、4段階の実施手順、導入のメリット・デメリット、業界を超えた企業の活用事例までをわかりやすく解説します。LCAの基礎から組織での活用方法まで、この記事を読めば体系的に理解できるでしょう。
これからの時代の変化に対応して企業が生き残るためには、時代に即した知識や考え方を知る必要があります。まずはLCAをはじめとするビジネス知識・トレンドについて学ぶ機会を設けてはいかがでしょうか。
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LCA(ライフサイクルアセスメント)とは?CFPとの違い・4段階の手順・企業事例
目次
LCA(ライフサイクルアセスメント)とは
LCA(ライフサイクルアセスメント)は、製品のライフサイクル全体で環境負荷を数値化し、評価する手法です。国際規格として定められており、企業が自社の製品やサービスを評価する際に活用されます。
LCAが注目されている背景
LCAが注目される背景には、企業の環境対応が求められるようになった社会の変化があります。カーボンニュートラルやSDGsへの取り組みが進む中、環境への影響を数値で示す必要性が高まっているためです。
製品を販売する際に消費者や取引先へ「環境に配慮している」と伝えても、具体的な根拠がなければ信頼を得にくくなりました。LCAで全過程の環境負荷を数値化すれば、客観的な根拠として活用できます。
環境省が示すLCAの考え方
環境省は、LCAを製品やサービスのライフサイクル全体で、環境負荷を評価する手法と位置づけています。
たとえば再生可能エネルギーは環境にやさしいイメージがありますが、製造や廃棄の段階では環境負荷が発生します。一つの工程だけでは真の環境影響を判断できないため、環境省はLCAガイドラインを策定し、企業が自社の事業を評価できる仕組みを整えました。
LCAとは国際規格ISO14040として規格化された手法であり、全体評価を通じて真の環境負荷を把握する考え方です。
LCAとカーボンフットプリント(CFP)との違い
LCAとカーボンフットプリント(CFP)は混同されやすい概念ですが、評価する範囲が異なります。
LCAは水質汚染や資源の枯渇など、環境負荷全体を評価する手法です。一方、CFPはLCAの手法を活用しながらも、温室効果ガス排出量のみに焦点を当てた評価です。
たとえば、製品のパッケージに表示されるCO2排出量は、CFPによって算出された数値です。環境対応を進める際は、目的に応じてLCAとCFPを使い分ける必要があるでしょう。
LCAの4段階
LCAの実施手順は、国際規格ISO14040で4つの段階に分けて定められています。各段階には役割があり、順序立てて進めることで信頼性の高い評価が可能です。
LCAの4段階は下記のとおりです。
・目的と調査範囲の設定
・インベントリ分析(データ収集)
・影響評価
・結果の解釈
それぞれの段階について詳しくお伝えします。
目的と調査範囲の設定
目的及び調査範囲の設定では、何のためにLCAを行うのかを明らかにし、対象となる製品やサービスを特定します。
自社製品の環境性能を知りたい、取引先への情報開示が必要など、実施の背景を明確にしたうえで、ライフサイクルのどの段階を分析対象とするかを決定する工程です。
加えて、地球温暖化への影響を見るのか、水質汚染を評価するのかなど、着目する環境影響の項目や、製品同士を比べる際の基準単位も定めます。
設定内容によって以降の作業内容が大きく変わるため、十分に検討して進める段階です。
インベントリ分析(データ収集)
インベントリ分析では、製品のライフサイクル全体で投入される資源や排出される物質のデータを収集します。環境負荷を数値化するための基礎資料が必要なためです。
具体的には原材料の使用量、製造時のエネルギー消費量、廃棄物の排出量などを具体的に把握し、一覧表にまとめる作業を行います。LCAの実施において最も時間を要する段階であり、正確なデータ収集が後の評価結果に直結するため重要な工程です。
影響評価
影響評価では、前段階で集めた環境負荷のデータを使い、実際にどのような環境影響が生じるかを数値で示します。収集した物質の排出量や資源の消費量が、具体的にどの環境分野にどの程度の影響を及ぼすのかを分析する工程です。
たとえば温室効果ガスの排出が気候変動へ及ぼす程度や、化学物質の放出が水質へ与える負担などを計算し、複数の環境課題との因果関係を整理します。評価を通じて、製品やサービスのどの工程で、どの環境分野の負荷が大きいかを把握できます。
結果の解釈
結果の解釈では、前段階のインベントリ分析と影響評価の結果を総合的に評価し、改善策を導き出します。LCAの目的に照らして、どの工程で環境負荷が大きいかを特定し、具体的な対応を検討するためです。
製造段階で二酸化炭素の排出が多い場合には、省エネルギー設備の導入や製造方法の見直しを提案する段階です。結果の解釈をもとに、企業は環境対応の優先順位を決定し、実際の改善へとつなげられます。
LCAを導入するメリット
LCAを導入する主なメリットは以下の2つです。
・環境への影響を数値で把握できる
・製品やサービスを客観的に比較できる
それぞれのメリットを解説します。
環境への影響を数値で把握できる
LCAを導入するメリットは、環境への影響を具体的な数値で把握できる点です。たとえば「製造工程で二酸化炭素を年間500kg削減した」と明確な成果を示せるようになれば、説明に説得力が生まれます。
数値化により客観的な評価が可能になり、改善の効果も測定しやすくなります。環境対応を着実に進めるには、数値による可視化が役立つでしょう。
製品やサービスを客観的に比較できる
製品やサービスを客観的に比較できる点もLCAを導入するメリットの一つです。LCAは国際規格ISO14040にもとづいた評価手法であり、同じ基準で環境負荷を測定できます。
たとえば自社の複数の製品を比較する際、製造段階だけでなく全工程での環境負荷を数値で並べて検討できます。そのためどの製品が環境配慮型か判断しやすくなるでしょう。
LCAの導入により客観的な比較が可能になり、製品選定や新製品開発の際の判断材料として活用できます。
LCA導入時に注意すべきデメリット
LCA導入の主なデメリットは以下の2つです。
・データ収集や計算に手間がかかる
・専門知識がなしでは正しく活用しにくい
それぞれについて解説します。
データ収集や計算に手間がかかる
LCA導入のデメリットは、データ収集や計算に手間がかかる点です。LCAは製品のライフサイクル全体を評価するため、原材料の調達から廃棄まで膨大なデータを集める必要があります。
企業は原材料の使用量や輸送距離、製造時のエネルギー消費量など、各工程の詳細な情報を収集しなければなりません。とくに中小企業にとっては、データ収集に割けるリソースが限られているため、導入のハードルになる可能性があります。
専門知識がなしでは正しく活用しにくい
LCAの導入は、専門知識がないと正しく活用するのが難しいでしょう。LCAは国際規格にもとづいた評価手法であり、環境影響の分類や数値の解釈には専門的な理解が求められます。
とくに影響評価の段階では、収集したデータをどの環境問題に分類するか、その影響をどう定量化するかを判断する必要があります。専門知識をもつ人材がいない場合、外部の専門家への依頼も選択肢の一つでしょう。
企業のLCA導入事例
実際にLCAを導入した企業の事例は、活用方法や効果を具体的に理解する参考になるでしょう。建築業界や食品業界など、業種によってLCAの活用方法は異なりますが、共通するのは環境負荷の把握と改善につなげている点です。
LCAを導入し成果を上げている企業の取り組みを2つお伝えします。
建築物全体を対象にLCAを実施した事例
LCAは建築分野でも環境配慮を具体化する手法として活用されています。ハザマ・アンド・アンドウ株式会社は、建築物を対象に、資材調達から建設、運用、廃棄までを含めたライフサイクル全体の環境負荷を評価しました。
同社は建物単体ではなく、設備や運用段階も含めた評価を実施しています。そして、日本初となる設備と運用を含む建物LCAでの環境ラベル「EcoLeaf」とカーボンフットプリント(CFP)の同時取得を実現しました。
本事例は、LCAが製造業だけでなく、建築物の環境評価にも有効であることを示しています。
参考:安藤はざま株式会社「日本で初めて、施設と運営を含む建物LCAを用いて、2つの異なる環境ラベルを同時に取得」
企業活動全体の改善につなげたLCA導入事例
LCAは、製品単位だけでなく、企業活動全体の改善にも活用されています。ニチレイグループでは、LCAを通じて温室効果ガス排出量を可視化し、環境負荷低減に向けた取り組みを進めています。
同社では原材料調達から製造、物流、廃棄までを対象に評価を行い、部署単位の取り組みから会社全体の仕組みへと転換しました。LCAの結果を自社の算定システムに落とし込み、視覚的に確認できる体制を構築した点が特徴です。
またCO2以外の環境影響も評価できるようにし、改善施策の検討や環境対応の説明に活用しています。LCAは環境対応を数値で説明するための手段となっています。
参考:株式会社Green Guardian「事例|株式会社ニチレイ 様」
よくある質問
Q. LCAとScope3は同じですか?
異なります。LCAは「製品・サービス」を評価対象とし、ISO規格に基づいて実施します。Scope3は「組織(企業)」のサプライチェーン全体のGHG排出量を対象とし、GHGプロトコルという別の基準で算定します。
自社製品の環境負荷を評価したい場合はLCA、企業活動全体の排出量を開示・管理したい場合はScope3、という使い分けが一般的です。
Q. LCAの実施にはどれくらいのコストや時間がかかりますか?
製品の複雑さや調査範囲によって大きく異なります。簡易的な評価であれば数週間〜数か月程度で完了する場合もありますが、全工程のデータを収集する本格的なLCAでは半年以上かかることもあります。中小企業では専門知識を持つ人材の確保やデータ収集リソースがハードルとなるため、外部の専門機関への依頼や、LCA算定支援ソフトウェアの活用も選択肢の一つです。
Q. LCAを行うとどのような認証や環境ラベルが取得できますか?
LCAに基づいてGHG排出量等を算定・開示すると、「エコリーフ」や「カーボンフットプリント(CFP)マーク」などの環境ラベルを取得することができます。これらはISO14020シリーズに準拠した認定制度で、製品への表示により消費者や取引先への環境配慮のアピールが可能です。環境ラベルの取得は、企業の信頼性向上やESG評価の向上にもつながります。
Q. 中小企業でもLCAは導入できますか?
導入は可能です。ただし全工程の一次データを自社のみで収集するのはリソース面で難しいケースが多いため、国立研究開発法人 産業技術総合研究所が開発した「IDEA」などの二次データベースを活用する方法が一般的です。
まずは主要な工程に絞った簡易LCAから始め、専門家の支援を受けながら段階的に範囲を広げていくアプローチが現実的です。
LCAとは何かを共有し、環境対応を組織的に進める
LCAとは、製品やサービスの環境負荷を全過程で評価し、改善につなげる手法です。環境対応を進めるには、LCAの考え方を組織内で共有し、データ収集や評価を組織的に行う体制が求められます。
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