DEIの問題点は?海外での批判から考える取り組みのポイント

「DEIに取り組んでいるはずなのに、社内で不満が出ている」
「アメリカ企業がDEIを次々と廃止しているのを見て、本当に必要なのか疑問になった」
近年、こうした声が企業の人事担当者や経営層から聞かれるようになっています。
DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)は多様な人材が公平に活躍できる環境をつくるための重要な取り組みですが、やり方を誤ると逆差別・表面的なアピール・組織の混乱を招くリスクもはらんでいます。2025年1月にはトランプ大統領が連邦政府のDEI推進を廃止する大統領令に署名し、AmazonやGoogleなど大手企業が相次いでDEI関連施策を縮小・廃止するなど、世界的な議論は今も続いています。
本記事では、DEIが抱える具体的な問題点を整理したうえで、アメリカと日本それぞれの動向、そして本質的なDEI推進のために企業が押さえるべきポイントを解説します。
これからの時代の変化に対応して企業が生き残るためには、時代に即した知識や考え方を知る必要があります。まずはDEIをはじめとするビジネス知識・トレンドについて学ぶ機会を設けてはいかがでしょうか。
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DEIの問題点は?海外での批判から考える取り組みのポイント
目次
DEIの意味
DEIとは、以下の3つの言葉の頭文字をとった言葉です。
・ダイバーシティ/Diversity(多様性)
・エクイティ/Equity(公平性)
・インクルージョン/Inclusion(包括性)
DEIは、一人ひとりの多様性を受け入れ、個性や違いを尊重することで公平に組織内のすべての人が能力を発揮するための取り組みです。
DEIの問題点
DEIの具体的な問題点を解説します。
DEIは逆差別になる可能性がある
DEI推進の取り組みが逆差別であるとの声が上がっています。逆差別とは、特定の属性の人々だけを優遇し、それ以外の属性の人々が不公平な扱いを受けることを指します。
DEI推進によって能力より属性が重視され、一部の人だけが特別扱いされていると感じている方からの不満が高まっているのです。たとえば、アメリカでは一部でLGBTQや非白人の人々を不当に優遇しているとの声も上がっています。
本来、DEIには公平性も含まれており、一部だけを優遇することはDEIの本質とは異なります。行き過ぎたDEIの取り組みを行う企業はLGBTQやマイノリティだけを優遇し、その他の人々を置き去りにする現象が起こっているのです。
DEIを推進する場合、差別意識や固定観念を取り除くことは重要ですが、能力を軽視すると組織内で不満が生まれる可能性があります。
DEIに表面的に取り組む企業への批判
DEIを表面的に取り組む企業に対する批判が大きくなっています。DEI推進が目的となり、多様性の目標数値を達成することに囚われ、本質的な公平性を置き去りにするケースが増えているためです。
女性比率を設定した目標まで引き上げることや、マイノリティを目標値まで採用するなどの取り組みは表面的な取り組みになりがちです。
DEIは本来一人ひとりの多様性を認め合い、公平に能力を発揮できるようにするためにあります。数値目標だけを追い求めるとDEIがただのアピールになり、本質から遠ざかってしまうでしょう。
業務効率や競争力の低下
DEIを重視するあまり、業務効率や競争力が低下するとの懸念もあります。多様性を重視した人材配置や、公平性がある制度の見直しなどが優先され、業務がおろそかになる場合があるためです。
DEI推進で生じたコストと効果が見合っていないなど、取り組み自体を疑問視する声も上がっています。
DEIは長期的な取り組みとなるため、組織全体で理解を深めつつ、多様性を事業に活かせる仕組みづくりを行っていきましょう。
DEI推進の効果が表れるまでが長い
DEI推進に取り組んでも、すぐに効果が表れるわけではないのも問題点の一つです。
DEIは多様性を受け入れる組織文化の醸成や評価制度の見直しなど、取り組みが組織の根幹にまでおよびます。従業員がすぐに変化に適応できるわけではないため、長期的な取り組みとなるでしょう。
DEI推進は長期的な取り組みになることを理解し、必要であれば社外の専門家の意見なども取り入れつつ効果的に進めていきましょう。
アメリカを中心としたDEI見直しの動き
アメリカを中心に巻き起こっているDEI見直しに関する動きを紹介します。
トランプ政権による米国でのDEI見直しの動き
トランプ大統領は選挙中にDEI事業の廃止を公約としており、就任後は公約通り連邦政府でのDEI推進の撤回を掲げた大統領令に署名しました。
トランプ氏は、人種や性別などの属性によって採用や解雇、昇進などを行うことを「違法なDEI」と定義しており、これらの撤廃を考えています。
アメリカではDEI推進を求める声と反発する声で国民が分断されており、議論は複雑化しているのが現状です。
アメリカの企業はDEIに慎重
アメリカではトランプ政権の影響もあり、DEIに慎重になっています。トランプ政権は反DEIを掲げ、各省庁に対して民間企業にもDEIの取り組み廃止を促すよう命じる大統領令に署名しました。
一部の層は行き過ぎたDEIへ反発し、DEI推進企業に対するキャンセルカルチャーにも発展しています。
アメリカではトランプ政権の大統領令や保守層の反発を理由に、DEIを廃止や見直しをする企業が増えています。すべての企業がそれに続いているわけではなく、多くの企業は慎重にDEIの取り組みを続けていくと考えられるでしょう。
日本ではDEI推進の流れが続いている
アメリカがDEIに対して慎重になる一方、日本企業は今後もDEI推進の取り組みを続けると考えられています。日本ではジェンダー平等と人材確保の2つを理由にDEIへの取り組みが必要とされているためです。
たとえば、日本企業は2024年度の「ジェンダーギャップ指数(世界経済フォーラム発表)」で146カ国中118位でした。これは日本企業がいまだにジェンダー不平等な状況を改善できていないことを表しています。
日本では少子高齢化による人材不足も深刻化しているため、多様性を認めることで多くの方に働いてもらう環境を構築する必要があります。今後は日本とアメリカでDEIへの取り組み方に差が生じていくと考えられるでしょう。
参考:男女共同参画局「男女共同参画に関する国際的な指数」
参考:世界経済フォーラム「Global Gender Gap Report 2025」
今後もDEIの取り組みは必要
DEIは本来、人種差別を無くすことや女性の機会平等を促すこと、障がいや個性を否定しないことを目指してきた概念です。数値ではなく多様性を重視する姿勢こそが、DEIの考え方の根幹といえます。
今後、企業はDEI推進を形式だけにするのではなく、本質的に取り組む姿勢が重視されるようになるでしょう。
一人ひとりの価値観や違いを尊重し、よりよい社会を作り上げていくためにDEIは取り入れたい大切な考え方です。
DEIに取り組む際のポイント
DEIに取り組む上でとくに重視すべきポイントを解説します。
目的や方針を明確化する
DEIに取り組む際は、目的や方針を明確化しましょう。DEIの取り組み自体を目的にしてしまうと、表面的な取り組みで終わってしまいかねません。
たとえば、DEI推進によって何を達成したいのか、どういった職場環境を構築したいのかを具体的に言語化しましょう。言語化することで、従業員が自社におけるDEI推進の意義を理解し、目標を共有しつつ取り組めます。
心理的安全性を考慮する
DEIに取り組む際は、心理的安全性を考慮しましょう。心理的安全性とは、組織内の一人ひとりが自分の意見や気持ちを安心して発言できる状態の度合いを表す言葉です。
DEIのインクルージョン(包括性)にあたる多様性を認め合う姿勢は、多様性や公平性を保障する上で欠かせません。そのため、上司や同僚から拒絶される心配をせず、自分らしく居られる環境構築が重要です。
たとえば、以下の行動ができる組織は心理的安全性が高いといえます。
・自分の意見を発言できる
・組織内で気軽にわからないことを質問できる
・新しいアイデアを提案できる
・ミスや失敗を謝れる
・挑戦が評価される
心理的安全性が高いと、ポジティブで挑戦的な姿勢が評価され、立場によって意見や発言を抑圧されることがありません。心理的安全性を高めればコミュニケーションが活発化するため、組織内の連携が強化されることで業務効率化にもつながります。
アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)に注意
DEIを推進するためにはアンコンシャス・バイアスに注意する必要があります。
アンコンシャス・バイアスとは無意識の思い込み・偏見のことです。「これはこうだ」と無意識に思い込むと他者の価値や違いを認める上で妨げになるため、なるべく減らしていく必要があります。
たとえば、「普通はこうだ」「男性(女性)はこうあるべきだ」などの思い込みをなくすには、一人ひとりが意識する必要があります。
多様性を重視するDEIでは、価値観や考え方を押しつけるアンコンシャス・バイアスを取り除く意識改革が必要です。
適切な評価制度を設計する
DEIを推進する上では、適切な評価制度を設計しましょう。DEIでは多様な人材に公平な評価を下す必要があります。
画一的な評価制度を採用すると公平さより平等さが優先されるため、DEIの3要素の一つであるエクイティ(公平性)がおろそかになります。
DEIの取り組みを本質的なものとするため、多様性や公平性を重視した評価制度を確立する必要があるといえます。
組織内でDEIへの理解を深める
DEIへの取り組みを進めるためには、管理職や従業員の理解を深めることが必要不可欠です。
DEIの推進には組織内の全員が互いの違いを認め、尊重しつつコミュニケーションできる雰囲気を作り上げる必要があります。経営者層がDEI推進を決めたとしても組織で考え方が浸透しなければ進んでいきません。
たとえば、管理職が率先してDEIに取り組んだり、従業員同士がコミュニケーションを取りやすい環境を作ったりするなどの活動が必要です。
組織内でDEIへの理解を深めるために、講演会・セミナーの開催も考えてみるとよいでしょう。DEIは制度や待遇の見直しだけでなく、組織内の価値観や属性を認め合うコミュニケーションも大切な要素の一つです。
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DEIに関するよくある質問
Q.DEIの欠点は何ですか?
DEIの欠点は、以下が挙げられます。
・DEI推進によるコストの増大
・公平性を重視することによる評価制度の複雑化
・DEI推進の効果がわかりにくい
・DEIへの理解不足による具体的な施策の欠如
DEI推進の取り組みでは組織文化や職場環境、評価制度など多方面から改善を迫られます。課題が多いため、正しい理解や組織内での意識共有などが必要不可欠です。DEI推進は、一つずつ課題を解決しながら長期的に取り組んでいくことが重要です。
Q.DEI推進の課題は?
DEIの課題として、推進に向けた具体的な取り組み方がわかりにくい点が挙げられます。DEIは取り組みに必要な知識や理解が不足している企業が少なくありません。
多様な人材を確保する方法や公平性を担保した評価制度の構築など、今までに無い取り組みのため組織に混乱が生じやすいでしょう。DEI推進には、外部から専門家を招くなど、社内だけの知識や理解に依存しない方法を模索する必要があります。
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今回はDEIの取り組みと課題について解説しました。DEI推進に着手するには、言葉の本質を踏まえたうえで丁寧に準備することが大切です。
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